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「加藤くん、おはよ」
「ん、おはよ」
朝、昨日と同じ時間に起きて駅に向かえば、既に待っていた加藤くん。
こういう待ち合わせの時、必ず加藤くんが先に待っている気がする。
次からは加藤くんを待たせないようにしよう、と心に決める。
「加藤くん、いつも早いよね」
「そう？」
「うん」
「まぁ集合時間より前につくようにはしてるからね」
「なるほど…。だからか」
1人で納得してる私を見て頭にはてなを浮かべていたけど、まあいいかと言わんばかりの反応をして私の歩くスピードに合わせて歩き始める加藤くん。
自然とそうしてくれるからすごいなぁと思う。
ホームで５分くらい待てばすぐやってくる電車。
今日も人は少なくてすぐ座れた。
周りにはチラホラとスーツ姿のおじさんがいるくらいで高校生はあまりいない。
やっぱり大体の子はこの1本後の電車に乗ってるみたいだった。
他愛もない話ばっかりしてたけど、ふと昨日のことを思い出した。
……けいちゃんと2時間くらい2人きりだったし、言った方がいいのかなぁ。
「……あの、」
「なに？」
「けいちゃんのAを、出してもいいでしょうか」
私がそう聞くと、一瞬目を丸くしたけどすぐに「いいよ」と言ってくれた加藤くん。
一呼吸置いて、私が話し始める。
「昨日、加藤くんからの電話を切った後すぐ、けいちゃんが私の家に来てね、」
「……Aの家に？」
「うん。それで……、エクレアと夜ご飯食べて、課題やって帰りました」
「なんもなかった？」
「さすがにね笑。けいちゃんも彼女持ちな訳だし」
「まぁそっか笑」
最初は少し怪訝そうだったけど、すぐに表情が緩んでいつもの加藤くんになる。
「小山さんは何しに来たの？」
「うーん…。「最近、シゲとA仲良いよね」って言われて」
「それだけ？笑」
「うん笑」
何しに来てたんだよ笑 って言って加藤くんが笑うからつられて私も笑う。
お互い中々大きい声だったから、はっとなって急いで声の音量を下げる。
2人で周りを見渡してから、同じ車両に人がいないことを確認してから顔を見合わせてふふっと吹き出す。
なんか、青春っぽい。
加藤くんとこんな会話が出来るようになるなんて少し前の私は思ってもみなかった。
……たのしいな。
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作者名：にゅすの さくら | 作成日時：2022年7月11日 12時
