二周目 ページ45
大事に持っていたからか、ナイフはアッサリと、その背中に深々と突き刺さった。
引き抜くと、血がどぷりとその跡から流れ出る。
「死ねない…！あの子を、残して、ま、だ…」
口から止めどなく血を溢れさせ、善野さんが言葉を零す。
四肢を使って地面を這って行く彼の背中を、俺は思いっきり踏みつけた。
「ねぇ、善野さん、みてよ、アイツ、“死んでなかった”！！
此処に、此処にいるんだよ！」
でも、このままじゃ、アイツは消えちゃうんだ。
俺が、俺がアイツになってあげれば…！
Aは、ずっと此処に……！
「俺たち、“親友”だもんなぁ」
なあ、A。
おかえり。
これからは、ずっと一緒だよな？なぁ？
何度も、何度も俺は善野さんにナイフを突き刺した。
いつのまにか彼は動かなくなっていて、俺の身体は、血で真っ赤に染まっていた。
「ハハ、ハハハハ、ハハハハハハハハハハハ……」
俺は、自分の服の、辛うじて汚れていなかった所でナイフの血を拭うと、倒れている善野さんを置いて、そのまま歩き出した。
ーーー
玄関のドアが開く音がした。
陽雅かな、と思ったが、その人物は一向に部屋に入って来ず、流石に怪しくなって、私は玄関を覗いた。
「やっぱり陽雅か。
おかえり、なかなか入って来ないか……ら、え、ちょっと、どうしたのよそれ！」
見ると、彼は全身を血だらけにして、そこに立っていた。
しかも、満面の笑みで。
「あ、光里。ただいま。
ねぇ、聞いてよ。Aまだ生きてたんだ！死んじゃいなかった！」
「な、何言ってんの？！まさか、陽雅……！」
ウソ、まさか、こんな事。
「ほら、見てよこの血！アイツがやったんだ！このナイフで！俺、見たんだよ！」
「あ、あ…………」
「……何で、泣いてんの？……俺、今すごく嬉しいんだ。Aが、生きてた。ずっと、死んだと思ってた。でもさ、今此処に、いるんだよ、アイツが。…………嬉しくて仕方ない」
ねえ、なんで。
なんでなのよ、A。
どうして私達から幸せを奪うの？
…………もう、ほっといてよ。
「…………うん、そうだね」
……ああ、そうか。
私が見捨てたからだ。
あの時、貴方を見捨てたから、こうなってしまった。
そうでしょ？
ねえ、陽雅……。
私、いつの日か貴方を助けるから。
私、貴方の事________
愛してるからね。
fin.
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もくもく@鬼灯なぅ - みーさん» あ、本当ですね！ご指摘ありがとうございます！ (2015年11月7日 1時) (
レス) id: 4a5e4162ae (このIDを非表示/違反報告)
みー(プロフ) - 報告書二枚目の、近所の大学生と若い警官数名が犠牲になった事件で、夜行が夜光になっています。故意でしたら、すみません。 読んでいてとても引き込まれる話で、面白いです。私もこんな風にかければなあ笑 (2015年11月4日 20時) (レス) id: bcd7e9b2cd (このIDを非表示/違反報告)
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