君とカフェモカ

えぴそーど　３０ ページ30

*
　厨房の中ニコニコ笑いながら材料を刻むA。

　５日ぶりに聞くAの料理する音。

　まな板と包丁が幸せの音を奏でる。

　テーブルの上、頬杖つきながら眺める。

　心が癒されていくのが分かる。


「はいっ！お待たせ。オムライスだよ！どっち、食べる？」

　テーブルの上、運ばれてきたオムライスにはケチャップで文字が書かれて

いた。

「なんだよ…これじゃぁ食べれないし…」

　黄色いたまごの上、赤いケチャップで「こうへい」と「だいすき」の文字

―――

　無言でAの顔を見ると、ドヤ顔でニヤニヤ笑っている。

　ドヤ顔は、オレの専売特許なんだぞ…

　それにしてもAってやつは、なんでこうもオレを幸せな気持ちにし

てくれるんだろう…

　嬉しいなぁ…

「なんだよ…ズルいなぁ…もったいなくて食べれないし…」

　嬉しくてケチャップの文字が滲んで見えた。

「見た目だけじゃないんだぞ！ちゃんと気持ち、こめてるからな！」

　とびっきりのAの笑顔。

　それだけでオレはもう他に何も要らない。

　
　欲しいのはキミ…

　ずっと側にいて欲しいのはキミ…

　キミの笑顔さえあれば他にはなにも要らない。

　A―――

　愛してる。

*

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