君とカフェモカ

えぴそーど　２４ ページ24

*
「ん゛ん゛っ！！ゲフン、ゲフン！！」

　背後で人の気配―――

　振り向くとそこには赤い顔をしたマスターが立っていた。

「５日ぶりの感動の再会中に悪いんだけど…ボクの存在を忘れてないかな？」

　ゲゲッ！！

　すっかりマスターの存在を忘れていた！

　もちろん、今の、見られたよな…？

「ああっ！！すみません―――まだ、営業中でしたね…ごめんなさい…」

「いや、お客さんいないから別にいいんだけどね―――でも、ここ通らない

と帰れないもんで…」

　まいったな…

　Aも赤い顔して俯いたままだ―――

「あの、これ！出張のお土産です！！休憩のときにでも食べてください。」

　空港内のお店で一番人気のお菓子を手渡した。

「ありがとう！ボクはもう帰るから…明日、Aちゃん、一緒に食べよ

うね。」

　壁に掛けられた時計を見ると７時を回ったばかりだった。


「じゃ、Aちゃん、あと頼むね！」

「はい！マスター、お疲れさまでした。」

「内村君、ゆっくりしてってね。――――――それと…こんなこと言われなく

ても分かってると思うけど、もし、Aちゃんを泣かすような事したら

ボクが許さないからね。」

　マスターの口元は笑っていたけれど目はキッとして怖かった。

　マスターはホントにAを大事に思ってることが分かる。

「大丈夫です！Aにはいつも側にいて笑っててもらいたいから絶対、

泣かすような事はしません！」

　てか、さっき泣かしちゃったな…

　でもAの泣き顔、可愛かったな―――

　もう、悲しい涙は流すような事はさせない。

　オレが側にいてずっと、守り続けて行くから―――


　マスターは背中越しに手を振りながら店を出て行った。

*

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