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Aside
「かつ丼うま、これどこのですか?」
「警察署の近くに昔からあるカツ丼屋…って呑気だな」
朝になっても釈放してくれないので、お腹がすいたとごねれば何が食いたいというものだから刑事ドラマで定番のカツ丼を頼んだ。
めちゃくちゃおいしいなにこれ。
「包丁から指紋が出てこないし、被害者の…お隣さんからも私の指紋は出てこなかったんですよね。
それに指紋をつかないように手袋をはめたとして、その手袋も見つからない、隠す暇もない。
…だから私じゃないんですって」
「と言ってもだな…」
がしがしと頭をかく取調官に、私はもぐもぐとカツ丼を頬張りながらジト目で返す。
牢にぶち込むわけにもいかないんだろう、どんどん証拠が薄れてきたから。
「あのっ」
私がカツ丼をあと二口で完食するころ、慌てて資料を持った人がやってきた。
その片手には、何か証拠のような物も持っていて、あれ、また私不利になんのかなと最後のカツを口に入れた。
「…っはぁ。またややこしくなってきたな…」
ついには頭を抱えだした取調官に、大丈夫ですかと思わず話しかけた。
もうこの時にはどんぶりの中は空。
「…被害者の窓から、糸が出てきた。
さきほど窓は閉められていた、と言ったが…この被害者の家にはなかった糸が見つかったからには、故意に窓の鍵を閉め…その窓の外から逃げ出した、あなた以外の犯人もいるかもしれない」
「だから私じゃないんですって」
「あと、…あと、これが見つかったと…」
「あぁ」
やっと見つけたんだ、なんて言葉が出かけたけどなんとか抑えて出されていた水を飲んだ。
頭を抱える取調官の手にあるのは、私の警察手帳。
普段からもっとけや、っていう問題だけど、仕事ない時は大切に保管してるんだよね家に。
「貴方、さっき喫茶店のアルバイトだって言ってましたよね!?」
「ええ」
「中、拝見させてもらいましたけど…栃木さん、公安って…アンタ…公安って…」
今頭を抱えているのはどういう意味で抱えてるんだろう。
まぁ私の正体は正確にはわかってないし、私が無実なのは確かなので余裕な表情で水を飲み干した。
「…でもまぁ、私が簡単に解放されてないってことは、公安も私を見放したってことなんだろうなぁ」
空になったグラスを見つめ、いま自分に後ろ盾がないことを実感する。
一人で何とかしなきゃ。
そう思っているのに、どうしてか降谷の顔が浮かんだ。
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こたきんぐ(プロフ) - ありばばさん» こちらこそ読んで頂きありがとうございます!!泣いてくれたんですね…少しでも心動かせたみたいでマジで嬉しいです!番外編の方もし未読でしたら、お暇の時にぜひ! (2022年8月12日 20時) (レス) id: 7882bc78cd (このIDを非表示/違反報告)
ありばば - 良作をありがとうございます…!本当好きです、マジで、マジで!!一時はどうなるかとハラハラハラハラしてました泣きました。もっかい見ます (2022年8月11日 11時) (レス) @page47 id: c9b27d8eb7 (このIDを非表示/違反報告)
こたきんぐ(プロフ) - \(^o^)/さん» もったいないお言葉です…。ありがとうございます!笑 (2022年1月23日 2時) (レス) id: 3277e9d770 (このIDを非表示/違反報告)
\(^o^)/ - 神作品とはこのこと、、、!!!679を680にしてやったぜ! (2022年1月19日 23時) (レス) @page47 id: 111ab3751f (このIDを非表示/違反報告)
こたきんぐ(プロフ) - 眠夢_さん» ええありがとうございますー!!笑笑 その水拭いて差し上げたい…( ˘ω˘ ) 少しでも心動かせたようでよかったです笑笑 (2021年10月4日 15時) (レス) id: 3277e9d770 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こたきんぐ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Kotakinnhu/
作成日時:2019年4月5日 11時