８億当てたって、私は変わらない。【名探偵コナン】

１９３億 ページ6

コナンside


「安室さん、安室さんってば！」

「あ、あぁすみません。まずは妃さんに弁護を頼みたくて」

「わかった！」



一瞬たじろいだ安室さんはパッといつもの雰囲気を取り戻し、本来の目的を話す。
おっちゃんは安室さんに言われた通り、英理さんにもしもの時の弁護を頼むために連絡を入れていた。



「さっきのニュースを見た通り、Aさんにはアリバイがなく、証拠が家にある状態で、第一容疑者となっているんです。でも、彼女がそんなことするはずがない。
…これは願いでも何でもない、確実に近く、ないんです」

「僕もないと思う。きっとその証拠は真犯人が作ったもの…、Aさんを犯人にでっち上げたんだ」

「うん。…それと、今回の事件、コナン君は知らないかもしれないけれど四年前にあった連続殺人事件で使われた犯行と同じ手口なんだ」

「…っ！」



そういわれてハッとした。
四年前の連続殺人事件…大の字で寝かされ、殺され、内臓は抜き取られ、燃やされるという犯罪手口。
被害者は八名、まだ犯人は見つかってない。

俺はその事件があった時、丁度親父とハワイに行ってたから、日本にすらいなかった。
この事件は後に知った。



「…そして、Aさんは、その被害者の家族だ」

「…えっ！？」



言いにくそうに、安室さんはその言葉を口から出した。



「安室さんが、どうしてそれを…」



蘭がそう疑問を口にするが、安室さんは昔、聞いたんですと疲れたような笑みで答えた。

まぁ、今の状況、蘭からしたらどうしてニュースをみてないのにAさんが連行されたのかわかるのかって話だけれど。
今は蘭もみんな落ち着いてないから、きっと気づかない。

蘭がAさん…と不安げな表情を浮かべながら目を伏せる。
それと同時に、安室さんが後で話があると耳打ちされた。

俺は頷き、グッと拳を握った。



「…すみません、僕、少し取り乱してたみたいです」

「い、いえっ、無理も…ないですから」

「今は一般人には接見ができない状態だと思います。…もう少し、落ち着いたら毛利先生にも助けてほしいんです」

「ああ、まかせろ」



英理さんと話を付けたおっちゃんは、いつものちゃらんぽらんの顔ではなく、しっかりとした顔つきで頷いた。

…四人の間には、どんよりとした暗く重い雰囲気が流れる。

それほど、この事件は大きいのだ。


あの、笑顔溢れるAさんが容疑者として連行されたことは。


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