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230億 ページ43

Aside


「ねぇ、降谷。降谷は私のこと、本当に好きなの?
勘違い、とかじゃなくて」




手をぎゅっと後ろで組み、目線は下で、しかし言葉はしっかりと発する。




「勘違い?」

「うん、私達以外の同期はみんな亡くなってしまって、残ったのが私だけだった…。なんかこう、錯覚、みたいな、ね?」

「……俺が栃木のこと好きなの、迷惑か」

「いやっ、私も降谷のことは、好き、なんですけど……」




最後になるにつれ、弱々しくなる声。やっぱり降谷の顔は直接見えなくて、地面を見つめる。

降谷はコーヒーを置きベンチから立ち上がり、そんな私に近づいてきた。


近づいてくるのに気づいた私は一歩後ろに下がるが、歩みをとめない降谷。

降谷はそのまま、私を抱きしめた。




「っふ!?」

「お前こそ、それは勘違いなんかじゃないんだな?」




胸板を押し返そうとしても、ビクともしない。

逆に抱きしめる力が強くなり、抵抗する気力もなくなる。




「俺は勘違いじゃないぞ。長い間想ってきたんだ、勘違いでしたで終わってやるか」

「え、え、いつから」

「……さぁな、忘れたよ」




私の首元に首を埋める降谷をどうすればいいのか分からず、ただ真っ赤になった顔を冷やすことに専念する。

今見られたらやばい、さっきよりやばい。




「…栃木がハギを想ってることはわかってる」

「……」

「それでも俺は、栃木が好きなんだ」




降谷の声が耳元で聞こえて、こそばい。

その言葉も、甘ったるくて、こそばい。




「…私、面倒臭いからさ。昔のこと、ネチネチネチネチ引きずってて。
でも、そんな私のそばにいてくれて、笑わせてくれたのは降谷だったよ。いつの間にか、うん、ほんとにいつの間にか」




いつだったとか、ほんとに忘れてしまう。それをずっと気付かないふりをして。

ケンのことが大好きだった。それは変わらない。

けれど、今は





「あなたが一番好きになってた」




同期の降谷にそんなことを言うのは、ほんと、恥ずかしいことだけど。

この気持ちに嘘はない。あなたの幸せを誰よりも願うほど、大切に想う気持ち。


だからこそ、あなたは私を選んでいいんだろうか。

.

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こたきんぐ(プロフ) - ありばばさん» こちらこそ読んで頂きありがとうございます!!泣いてくれたんですね…少しでも心動かせたみたいでマジで嬉しいです!番外編の方もし未読でしたら、お暇の時にぜひ! (2022年8月12日 20時) (レス) id: 7882bc78cd (このIDを非表示/違反報告)
ありばば - 良作をありがとうございます…!本当好きです、マジで、マジで!!一時はどうなるかとハラハラハラハラしてました泣きました。もっかい見ます (2022年8月11日 11時) (レス) @page47 id: c9b27d8eb7 (このIDを非表示/違反報告)
こたきんぐ(プロフ) - \(^o^)/さん» もったいないお言葉です…。ありがとうございます!笑 (2022年1月23日 2時) (レス) id: 3277e9d770 (このIDを非表示/違反報告)
\(^o^)/ - 神作品とはこのこと、、、!!!679を680にしてやったぜ! (2022年1月19日 23時) (レス) @page47 id: 111ab3751f (このIDを非表示/違反報告)
こたきんぐ(プロフ) - 眠夢_さん» ええありがとうございますー!!笑笑 その水拭いて差し上げたい…( ˘ω˘ ) 少しでも心動かせたようでよかったです笑笑 (2021年10月4日 15時) (レス) id: 3277e9d770 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:こたきんぐ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Kotakinnhu/  
作成日時:2019年4月5日 11時

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