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Aside
「ねぇ、降谷。降谷は私のこと、本当に好きなの?
勘違い、とかじゃなくて」
手をぎゅっと後ろで組み、目線は下で、しかし言葉はしっかりと発する。
「勘違い?」
「うん、私達以外の同期はみんな亡くなってしまって、残ったのが私だけだった…。なんかこう、錯覚、みたいな、ね?」
「……俺が栃木のこと好きなの、迷惑か」
「いやっ、私も降谷のことは、好き、なんですけど……」
最後になるにつれ、弱々しくなる声。やっぱり降谷の顔は直接見えなくて、地面を見つめる。
降谷はコーヒーを置きベンチから立ち上がり、そんな私に近づいてきた。
近づいてくるのに気づいた私は一歩後ろに下がるが、歩みをとめない降谷。
降谷はそのまま、私を抱きしめた。
「っふ!?」
「お前こそ、それは勘違いなんかじゃないんだな?」
胸板を押し返そうとしても、ビクともしない。
逆に抱きしめる力が強くなり、抵抗する気力もなくなる。
「俺は勘違いじゃないぞ。長い間想ってきたんだ、勘違いでしたで終わってやるか」
「え、え、いつから」
「……さぁな、忘れたよ」
私の首元に首を埋める降谷をどうすればいいのか分からず、ただ真っ赤になった顔を冷やすことに専念する。
今見られたらやばい、さっきよりやばい。
「…栃木がハギを想ってることはわかってる」
「……」
「それでも俺は、栃木が好きなんだ」
降谷の声が耳元で聞こえて、こそばい。
その言葉も、甘ったるくて、こそばい。
「…私、面倒臭いからさ。昔のこと、ネチネチネチネチ引きずってて。
でも、そんな私のそばにいてくれて、笑わせてくれたのは降谷だったよ。いつの間にか、うん、ほんとにいつの間にか」
いつだったとか、ほんとに忘れてしまう。それをずっと気付かないふりをして。
ケンのことが大好きだった。それは変わらない。
けれど、今は
「あなたが一番好きになってた」
同期の降谷にそんなことを言うのは、ほんと、恥ずかしいことだけど。
この気持ちに嘘はない。あなたの幸せを誰よりも願うほど、大切に想う気持ち。
だからこそ、あなたは私を選んでいいんだろうか。
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こたきんぐ(プロフ) - ありばばさん» こちらこそ読んで頂きありがとうございます!!泣いてくれたんですね…少しでも心動かせたみたいでマジで嬉しいです!番外編の方もし未読でしたら、お暇の時にぜひ! (2022年8月12日 20時) (レス) id: 7882bc78cd (このIDを非表示/違反報告)
ありばば - 良作をありがとうございます…!本当好きです、マジで、マジで!!一時はどうなるかとハラハラハラハラしてました泣きました。もっかい見ます (2022年8月11日 11時) (レス) @page47 id: c9b27d8eb7 (このIDを非表示/違反報告)
こたきんぐ(プロフ) - \(^o^)/さん» もったいないお言葉です…。ありがとうございます!笑 (2022年1月23日 2時) (レス) id: 3277e9d770 (このIDを非表示/違反報告)
\(^o^)/ - 神作品とはこのこと、、、!!!679を680にしてやったぜ! (2022年1月19日 23時) (レス) @page47 id: 111ab3751f (このIDを非表示/違反報告)
こたきんぐ(プロフ) - 眠夢_さん» ええありがとうございますー!!笑笑 その水拭いて差し上げたい…( ˘ω˘ ) 少しでも心動かせたようでよかったです笑笑 (2021年10月4日 15時) (レス) id: 3277e9d770 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こたきんぐ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Kotakinnhu/
作成日時:2019年4月5日 11時