８億当てたって、私は変わらない。【名探偵コナン】

２１２億 ページ25

Aside


それ以上深く聞くのはなんだか野暮な気がしたので、その話には触れないことにした。
栃木さん、空気読むの上手いからさ。




「えっと、映ってなかったってことは、犯人はどこから逃げたんだろ。表から逃げれる…とは思えないし」




表には既に、警察がいた。

逃げるなら必然的に裏しかない。

が、その裏のカメラは壊れており、近くのカメラは正しく起動しているがその時間帯には誰一人人が写っていない。


犯人は、返り血を浴びているはず。
そして臓器も持っているはずで。

途中どこかに置いていくなんてことをしないかぎり、絶対に手に持っているはずなんだ。

周辺のカメラをまた見ていくも、特に怪しい人は写っていない。

子供ずれの親子に、杖をついた老人、ワイワイと騒ぐ男子高校生四人。




「…ここまで映らないなんて、おかしいわね」

「犯人は空でも飛んでいるんでしょうか」

「空飛ぶとか、キッドじゃん」




沖矢さんの言葉に冗談で返したつもりだけど、その場の空気が少し凍った気がした。

キッドなら、こんな事件証拠を残さず犯すことが可能だろう。でも可能なだけで、キッドはそんなことしないことは、知っている。
情報をくれたあの優しい怪盗に、人は殺せない。あ、あのことあとで言わなきゃ。




「キッドはそんなこと、絶対しないもんね」

「……俺も、キッドはそんな事をするやつじゃねぇ事はわかる。でも沖矢さんの言った通り、犯人はもしかしたら空から逃げたのかもしれない」

「空だと結構目立つんじゃないかのお…」

「……じゃあその反対。地下から逃げたんじゃないかな」

「地下…？」





コナンくんはハッとしたような顔をして、パソコン画面を指さす。





「それだよAさん！」

「お？」

「犯人は地下を使ったんだ！」




コナンくんは生き生きとした目で、私の目を捉えた。

ほんとコナンくんは、根っからの探偵さんだね。


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