８億当てたって、私は変わらない。【名探偵コナン】

２０９億 ページ22

Aside


その前に、今はもう外が暗いので明日阿笠博士の家に行くことを伝えるために、軽くコナンくんに連絡を入れた。
すると了解という言葉とともに、心配の言葉が添えられてきた。

私の周りは本当に心配性が多い。


私は椅子に座り、ペンを握りしめる。そして、机の上に用意しておいた白い紙に、今わかっている事件の現状を書出した。




「まず一つ分からないこと、は…真犯人がどこの経路で逃げていったかだよね」




分かっていることを書出せば、分からないことが浮き出てくる。

私のお隣さん…被害者の女性を殺した犯人は、ほとんど証拠を残さず逃げていった。
まだ4年前の事件の犯人と確実に同じ、とは言いきれないけれど本当に状況が似ているものだから、燃えに燃える。


なんとかまとめた内容を見ながら、犯人はどこから逃げたのかを推測していく。
まず、犯人は必ずと言ってもいいほど玄関から逃げていない。なら、窓か。

死体の状況や、事件現場の状態から死亡した時間と私が発見するまでかかった時間はそこまで空いてない。
ということは、真犯人は自分が窓から逃げたあと、取り調べ官たちが言っていた窓に絡まっていた白い糸を使って窓の鍵を閉めた。

そして…私の部屋に元々合鍵のようなものを作っていたのだろうか。
私がスマホを探しに行っている間に、部屋に侵入し窓を開けておき、自分が逃げる時私の窓から凶器を捨て…という感じだろうか。ややこしい。


あとから聞いた話だけど私の部屋にあった刃物は、ただの包丁に被害者の血がついているものだったらしい。
…そこで私は引っかかる。

被害者の遺体を見た時、それは綺麗に腹を切られ、内蔵も綺麗に剥ぎ取られていた。

そんなことをただの家庭用の包丁でできるのだろうか。




「…犯人は、きっと日頃からこーゆーことに慣れた人、なんじゃないかな」




魚屋さんや、お寿司屋さん。
屠殺場ではたらている人や、料亭だとか。

日頃動物を解体することが、仕事の人とかさ。


とりあえずそれらを紙を裏返したところに書いて、また思考を巡らせる。




そんなことを続けていると、もう時計の針は十二時をこえていた。


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