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Aside
「…見なかったことにしてやる」
「ありがと」
降谷はそっとアルバムを閉じ、もとの場所に戻した。
「それにしても、さっきから気になってたんだが、あれなんだ?」
「あぁ…あー」
なんと説明すれば良いんだろう。
降谷が指さしたのは、私か本棚の隣に丁寧に飾っているキッドの偽腕。
キッドと一番最初に会った時、私が腕を引っこ抜いて記念に貰ったものだ。
「ホラーだぞ」
「偽物の腕だし」
「キッドみたいだな」
「…は、はは」
「……どーゆことだおい」
ジロっとした目を向けられたので、思いっきり顔を背けた。
なんか今日ポーカーフェイスが働かないかなぁ。
「はあっ、まあいい。
…俺は今から本職があるけど、お前はそのまま寝てろよ?容疑が完全に晴れるまで来るなと言われてるんだ」
「んー、なら、早く解決した方がいいよね。私独自でもこの事件のこと調べたいし、ちょっと寝れたし、動くよ」
「…体、休ませろ」
「三徹四徹やってる女だよ?今更一日徹夜したくらいで、倒れないって。大丈夫だよもー」
へらっと笑って手をぶらぶらさせると、降谷は何故か一度眉をひそめ、私の目をじっと見つめた。
見つめるだけで、何も言わないものだから、思わず首を傾ける。
「知ってるか」
「…ぇ」
すると降谷は立ち上がり、ベットに座っている私の方へ近づいた。
そして、私の束ねてある髪をそっと触る。
「な、何が?」
「お前の癖。何かを誤魔化す時、お前は必ずと言ってもいいほど、最後の語尾を伸ばす」
「……」
情けない。
自分の癖なんて、全然気にしていなかった。
私は初めて知った自分の癖に、動揺が顔に出て。
「大丈夫じゃ、ないんだろ」
「私は」
「無理するなって、何回言わせるんだばかやろう」
そう言って降谷はそっと、私の髪を結っているゴムを外した。
するりと解けた少し型がついた私の髪を、そのまま降谷は手ぐしで優しく梳く。
「休んでくれ」
「……降谷も、休んでよ」
「俺のことはいい。…今はお前だ栃木」
「……わかったよ。寝ればいいんでしょ」
あぁ、と最後に頭を一撫でし、降谷は安心したように笑った。
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こたきんぐ(プロフ) - ありばばさん» こちらこそ読んで頂きありがとうございます!!泣いてくれたんですね…少しでも心動かせたみたいでマジで嬉しいです!番外編の方もし未読でしたら、お暇の時にぜひ! (2022年8月12日 20時) (レス) id: 7882bc78cd (このIDを非表示/違反報告)
ありばば - 良作をありがとうございます…!本当好きです、マジで、マジで!!一時はどうなるかとハラハラハラハラしてました泣きました。もっかい見ます (2022年8月11日 11時) (レス) @page47 id: c9b27d8eb7 (このIDを非表示/違反報告)
こたきんぐ(プロフ) - \(^o^)/さん» もったいないお言葉です…。ありがとうございます!笑 (2022年1月23日 2時) (レス) id: 3277e9d770 (このIDを非表示/違反報告)
\(^o^)/ - 神作品とはこのこと、、、!!!679を680にしてやったぜ! (2022年1月19日 23時) (レス) @page47 id: 111ab3751f (このIDを非表示/違反報告)
こたきんぐ(プロフ) - 眠夢_さん» ええありがとうございますー!!笑笑 その水拭いて差し上げたい…( ˘ω˘ ) 少しでも心動かせたようでよかったです笑笑 (2021年10月4日 15時) (レス) id: 3277e9d770 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こたきんぐ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Kotakinnhu/
作成日時:2019年4月5日 11時