８億当てたって、私は変わらない。【名探偵コナン】

１８９億 ページ2

Aside


「私はやってないです」

「まだ何も言ってないですよ」




その後私は夜なのにも関わらず、署に連行された。

容疑者にかけられたのだ、私が。とんだ休日だわ。




「今貴方の部屋も確認させてもらっています。それで、ご職業は？」

「喫茶店のアルバイトです」




部屋の捜索してるなら、私の警察手帳が出てくるだろうけど、私は副業の方を答えた。
だって私やってないし。殺す暇、理由がないし。

軽く受け答えしていると、一対一で話していたところに一人に若い男が資料を持ってやってきた。
これは私が有利になるものか、それとも不利になるものか。




「…栃木さん」

「はい」

「貴方、四年前の連続殺人事件の被害者の家族ですね」




そこで沈黙が流れた。

私に問いかける男の額には汗がうっすらとにじんでいた。




「はい、そうです」




私は冷静にそう答え、目を伏せる。

そうだ、私の家族は連続快楽殺人鬼に殺された。今日あったような、殺され方で。

無残に殺され、終いにはガソリンを使って家と死体を焼き、誰が誰だかわからない遺体となった。
けれど全員内臓が無く、大の字で倒れていた。

そして、その犯人はいまだに捕まっていない。




「…そうですか。…話は飛びますが、小田さんが死亡した時間、どこにいましたか」

「携帯を落としたので、外に出ていました。アパートからコンビニの間です」

「誰か証明してくれる人は」

「いないですね」




あの時間帯は誰もいない。
あぁ、なんなら沖矢さんに説教されながらも送っていってもらえばよかった。
沖矢さんが証人になってくれたのに。




「あの辺りに…監視カメラは」

「ないですね」




運が悪い事に監視カメラもない。間に一台あったんだけど本当に運が悪くて、今故障中。


八億当てたからか。

八億当てた見返りか。



私は落ち着こうと静かにため息をはいた。


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