【刀剣乱舞】刀剣女士に転生したら顕現した瞬間に推しに殴られて刀突きつけられました。

願い ページ40

薬研side


「私は、お前達をこの境遇から救うまで、決して折れない！」

その言葉を聞いた瞬間、俺は全身から力が抜けたのを感じた。

蝮にどうしてもトドメが刺せず、ふらふらとした足取りで部屋を出る。

ああ、俺は。

俺は……！

一番、この言葉を心待ちにしていたのか。

情けない。

期待しても無駄だ。そんなの、俺が一番分かっているはずなのに。


「ただいま戻りました」

審神者の部屋の襖を開く。

「おかえりなさい。どうしたの、その傷？」

審神者は不気味な笑みを浮かべて言う。

気づけば、右目の下から出血していた。

蝮と戦ったときについたものか。

全てを見透かしているような自信に満ちた瞳。

嫌悪感と恐ろしさが混じりあって悪寒となり背筋を駆け上がる。

「……少し、野犬に噛まれただけだ」

大丈夫。きっと大丈夫。まだバレていないはず。

そう言い聞かせて。

「へえ。随分と強い野犬もいたものね。手入れするから来なさい」

審神者は笑顔を浮かべたままだ。


なあ、蝮。

お願いだから、早く折らせてくれ(俺達を救ってくれ)。

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