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食事という名の豆鉄砲 ページ25

「蝮?」

不意にかけられた宗三の声で、はっと我に返った。

「ごめん……ちょっと考え事してて」

「そんなに焦って思い詰めなくても良いんですよ」

そう言って、宗三はふっと微笑んだ。

「僕らが貴方に期待を寄せすぎてしまったのは事実ですが、考えすぎも良くありません」

「そうだ。また倒れられても困る」

長谷部が言った。

「とりあえず、今日は休め。その為の風呂だ」

ぽん、と、頭の上に骨張った手が乗った。

ああもう、これだからイケメンは!


そのあと、三振りとはしりとりをしたりして時間を潰し、気がつけば夜になっていた。

「俺達は夕餉に行ってくるから、蝮はここで待ってて。

たまに薬研が巡回するから、気配には気をつけてね」

そう言付けして、三振りは出て行った。

誰も居なくなったこともあり、改めて部屋を見渡す。

着替えを入れた箪笥と最低限の日用品しか無い、簡素な部屋。

長谷部は分かるけど、不動と宗三も、最低限の物だけにしてるんだ。

少し意外だ。

……暇だな。

せっかくだし、箪笥の中、漁ってみちゃおうかな。

出来心でそんなことを考え、箪笥に手を伸ばしたその時、

廊下から、足音が聞こえた。

『たまに薬研が巡回するから、気配には気をつけてね』

不動の言葉を思い出し、即座に体の動きを止めた。

気配が消せているかどうかは、正直分からないけど。

薬研はこの部屋の前で足を止めた。

心臓が跳ね上がった。

即座に、薬研が入ってきたらどうするべきか、思考を巡らせる。

ところが、薬研はしばらくすると、何もせずに立ち去っていった。

……バレてない?

いや、そんなはずはない。

冷静に考えれば、私が居るのは、ここである可能性が最も高い。

私の気配がしないから慢心したのか?

いや、薬研藤四郎は(少なくとも私の知っている刀剣乱舞においては)、そんな刀ではなかった。

では、どうして?


薬研の気配が完全に消えてから、そっと襖を開けた。

結局、何をしてたんだろう……

部屋の外に出ようと思い足を踏み出すと、カチャリという音がすると共に、何かが当たった。

最初、それがなんなのか分からなかった。

しばらくして、今日の夕食だと気づいた。

これを、薬研が?

分からない。

何を考えているんだろう。

言い訳を重ねてでも→←焦燥



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ツキアカリ - キリンの妖精、キリンロングさん» ありがとうございますm(_ _)m語彙力おばあちゃんにならないように頑張ります(?) (2019年5月18日 23時) (レス) id: 5a16b46531 (このIDを非表示/違反報告)
キリンの妖精、キリンロング - 世代交代(?)頑張って下さい←語彙力の枯渇 (2019年5月18日 22時) (レス) id: 390c1ef0c5 (このIDを非表示/違反報告)
ツキアカリ - ふはいねこさん» 応援ありがとうございます!期待に添えられるように頑張りますね(。・ω・。)ゞ (2019年5月17日 23時) (レス) id: 5a16b46531 (このIDを非表示/違反報告)
ツキアカリ - 前作者さん» 読みました、自分の文章力でどこまでできるか分かりませんが、この作品をもっとよく出来るように頑張ります! (2019年5月17日 22時) (レス) id: 5a16b46531 (このIDを非表示/違反報告)
ふはいねこ - ツキアカリさん» はじめまして。作者交代お疲れ様です(?) 二代目になっても応援してますね。頑張ってください。 (2019年5月17日 22時) (レス) id: 5701e6bc20 (このIDを非表示/違反報告)

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作成日時:2018年12月25日 22時

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