厚と毛利 ページ18
いつ、どうやって布団に戻ったかは分からないが、私は翌朝、ちゃんと部屋の布団で寝ていた。
目が覚めたときにはもう昼で、布団の横に昼食のようなものが置かれていた。
うどんだった。
部屋には誰も居らず、一人でうどんを啜っていたが、突然、襖が開いた。
「新しい短刀が入ったって本当ですか!?」
毛利藤四郎だった。
彼は、私と目が合った瞬間、露骨にがっかりした。
理由は大体察しがつくけど、傷つく。
「なんだ、小さい子じゃないんですね……」
毛利がそう言うと、後ろから誰かが走ってくる足音が聞こえ、更に襖が開けられた。
「うちの弟がごめんな!」
毛利の頭の上から、厚が顔を覗かせる。
「ほら、毛利、ちゃんと謝って」
厚が毛利の背中を軽く叩いた。
「あっ、すみません。つい……」
『つい……』って……
別に良いけど。
「大丈夫だよ。少し驚いたけど」
笑顔を浮かべて言った。
途端に毛利と厚の顔に安堵の色が広がる。
「申し遅れました。僕は毛利藤四郎です。
粟田口吉光が打った短刀。よろしくお願いします」
「同じく、厚藤四郎。よろしくな」
「私は美濃の蝮の娘、帰蝶様の刀。
銘も号も無いから、織田の刀からは蝮って呼ばれてるけど、呼び方はなんでもいいよ。
よろしく」
今回は、勝手に言葉が出てくることはなかったから、慎重に昨日言ったことを思い出さなくてはいけなかった。
「乱は『A』と呼んでたけど、俺らもそう呼ばしてくれないか?」
厚の言葉に、もちろん、と、私は頷いた。
「ありがとな。そう呼ばしてもうぜ!」
厚はそう笑う。可愛い。
「すまん!一目会って見たかっただけだから、俺たちそろそろ帰るな」
厚が言った。
「うん。また」
そう言って笑うと、毛利がふと呟いた。
「意外です。Aさん、昔一目見たことがあるんですけど、もっと冷たい方だと」
「ああ、そうだな。俺も見たことあるけど、そうだった」
厚も同意する。
「……え?そうなの?」
私の疑問には気づかないまま、二人は去っていった。
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ツキアカリ - キリンの妖精、キリンロングさん» ありがとうございますm(_ _)m語彙力おばあちゃんにならないように頑張ります(?) (2019年5月18日 23時) (レス) id: 5a16b46531 (このIDを非表示/違反報告)
キリンの妖精、キリンロング - 世代交代(?)頑張って下さい←語彙力の枯渇 (2019年5月18日 22時) (レス) id: 390c1ef0c5 (このIDを非表示/違反報告)
ツキアカリ - ふはいねこさん» 応援ありがとうございます!期待に添えられるように頑張りますね(。・ω・。)ゞ (2019年5月17日 23時) (レス) id: 5a16b46531 (このIDを非表示/違反報告)
ツキアカリ - 前作者さん» 読みました、自分の文章力でどこまでできるか分かりませんが、この作品をもっとよく出来るように頑張ります! (2019年5月17日 22時) (レス) id: 5a16b46531 (このIDを非表示/違反報告)
ふはいねこ - ツキアカリさん» はじめまして。作者交代お疲れ様です(?) 二代目になっても応援してますね。頑張ってください。 (2019年5月17日 22時) (レス) id: 5701e6bc20 (このIDを非表示/違反報告)
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作成日時:2018年12月25日 22時