#15 Sayonara Shizuya ページ27
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「みなさんすみません。ちょっと来てもらっていいですか」
YouTubeの撮影後、みんなで食事に行く話をしていたものの、微妙にまだ早い時間なため部屋で時間を潰していたトラジャメンバーに、マネージャーである瀬戸が声を掛けた。
その声色は硬く、メンバー一同は不思議に思いつつ、瀬戸の後を追った。
宮「どしたの?」
宮近が問い掛けるも、表情を崩さずに前を向いて歩みを進める瀬戸。
メンバーはそれぞれ顔を見合わせ、首を傾げた。
こんな瀬戸を初めて見たからだ。
ただ一人を除いて。
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「揃ってますね。じゃあ、自分から話して下さい」
部屋に入り、席に着いたメンバーを見渡して、ある一人を見つめて瀬戸が言った。
その視線の先には。
七「閑也……?」
川「え、なに?」
元「え、こわこわ」
瀬戸と同じく硬い表情をした吉澤に気付いたメンバーは、最初こそ笑ってはいたものの、次第にその雰囲気から笑みは消えていった。
ただひたすら、吉澤を見つめる。
吉「……みんな、ごめん。俺、ジャニーズ辞めたい」
張り詰めた表情で言い放たれた言葉に、メンバーはすぐに反応ができなかった。
いち早く反応できたのは、リーダーである宮近だった。
宮「どういうこと?」
微かに口角を上げているも、その瞳は僅かに怒りがこもっていた。
宮近の言葉を境に、他のメンバーも沸々と怒りが湧いてきたようで、各々が口を開く。
七「え、なに言ってんの?」
元「お前マジ冗談やめろよ」
全員が吉澤を見つめ、次の言葉を待つ。
当の吉澤は下を向いて、言葉を考えている様子だ。
すると、部屋の扉が開き、スタッフと何か言葉を交わした瀬戸がメンバーを一瞥した後、部屋を出ようとした。
宮「待って。」
鋭い声色で宮近が瀬戸を止め、振り向いた瀬戸が身体を強張らせた。
宮「いてよ。マネージャーなんだから」
温度の伺えない瞳が瀬戸を射抜く。
その緊張感に、怒りをみせていたメンバーも固唾を呑んだ。
川「座って?」
打って変わり比較的柔らかく川島が瀬戸に着席を促し、瀬戸も戸惑いつつ開いたイスに腰を掛けた。
川「…せとちゃんはどう思うの?」
眉を寄せて痛みに耐えるような表情で瀬戸に問う川島の声に、注目は一気に瀬戸に集まる。
予想外の問いかけだったのか、目をキョロキョロとさせて言いあぐねる瀬戸に、中村が手にしていた財布をテーブルに強く置き、瀬戸を睨む。
中「ちゃんと言えよ。マネージャーでしょ」
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作者名:エキゾチック幸助 | 作成日時:2021年8月27日 16時