ステロイド十八錠 ページ24
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雨独特の土臭さが鼻に残る夜。
俺はジンに言われた通り変装し、指示された場所へと足を運んだ。
«「こいつはお前の女か?」»
あの日、俺に見せてきた写真。
和奏の最後の写真。
俺は和奏の全てのことをジンに話した。
俺はその時理性を無くしていた。
ずっと隠していた汚い感情を吐き出した。
«『幻滅しただろ』»
一頻りどす黒い感情を吐いたあと、ふと我にかえり、冷静になった。
果たして、この男は信用に値する人物だったのか。不安感が押し寄せた。
«「お前は、復讐したいのか?」»
«『当たり前だっ!』»
きっと血走った目をしていただろう。
«「それじゃあ、俺達の仲間になれ。お前なんかが一人で出来るわけねぇだろ。」»
«『…っ』»
«「お前が血に染まる必要はねぇんだよ。分かるだろ?賢いドクターさんよぉ?」»
ジンはそう言うと俺を抱き締めた。
その時の煙草の匂いが今も鼻に残っているようだ。
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コツ、コツ…
まだ雫を残す金属製の階段を上っていくと、メールに記されている【243】の数字のついた扉に出会った。少し掠れているがきっとここであっているだろう。
コンコンッ
『ごめんください』
返事はない。
トントンッ!
『すいません!』
しばらくするとキィーと音を立てて扉が開いた。
「…なんだ。誰だ?」
『…ジンさん、います?』
ニット帽をかぶったロン毛の男が出てきた。
男の身長はとても高く思わず圧倒されてしまった。いや、ジンもでかいけど。というか、日本人?
『ジンさん…呼んでください』
「お前は誰だと聞いている」
言葉のドッジボールかよ。
俺と同じ…いや、似ているが違う緑の目が俺をとらえて離してくれない。
『…何で貴方に言う必要があるの?』
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ロン毛はロン毛でも、ロン毛違いだ。
「おい、ライ。何をしている?」
すると部屋の奥から誰かがやって来た。誰かって言うまでもないだろ?
「ジン…変な客が来てな」
『僕です。ジンさん』
「…ああ、お前か。ライ、そいつは俺の客だ通せ。」
「…そうか、悪かったな」
『いいえ、こちらこそ。すみませんでした』
シェアハウスか何かか?
意外と綺麗な部屋だった。
▲▽▲▽▲▽
「あいつは俺の玩具だ。手ぇ出すなよ?」
「安心しろ。興味は…ない。」
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Указать - カロナール24錠のところ、文字化けが発生しております。後、いつも素敵なお話をありがとうございます。 (2019年8月12日 1時) (レス) id: 3506ccb36c (このIDを非表示/違反報告)
松の葉(プロフ) - 腐るのであれば、BLのフラグをたてた方が良いのでは……?勘違いであれば申し訳ないです (2019年8月10日 9時) (レス) id: 0752d2fe1f (このIDを非表示/違反報告)
びょう(プロフ) - 15本目の何時も通り〜〜の所の字が化けちゃってますよ。ps.更新ありがとうございます。作者様を応援しております。 (2019年8月3日 21時) (レス) id: 0b0984a937 (このIDを非表示/違反報告)
ゆん - とても面白いです!! (2019年7月30日 17時) (レス) id: 19c16fa711 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ビルト・イン・スタビライザー(笑) | 作成日時:2019年7月6日 18時