雨降る夜に待ち合わせを【桃】 (ページ49)

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『俺は、Aちゃんが好きやねん』
　
　
　
言ってしまった
　
　
照史も女将さんもおることすっかり忘れて
　
　
まあまあ大きい声で言ってしまった
　
　
　
横目で2人を見ると
　
　
案の定驚いた顔をして固まっていた
　
　
　
やってもうた、これはあかん
　
　
　
　
完全に力の抜け切った彼女の手
　
　
『Aちゃん？』
　
　
「・・・・」
　
　
『うわっ』
　
　
　
彼女が俺の方に倒れ込んできた
　

　
『え、もしかしてこれ寝てる？』
　
　
女将「うん、寝てるね」
　
　
桐「寝とんな、もしかしてさっきのも聞いてへんのんちゃう？」
　
　
『嘘やろ』
　
　
　
　
俺の言葉は届いてはなかった
　
　
　
　
ひとまず、彼女は座敷で寝かせた
　
　
　
女将「でも驚いた、急に告白するんだもん」
　
　
『いや、まあ、なんか勢いで』
　
　
桐「ええやんええやん、久々キュンとしたわ～」
　
　
『照史、このこと誰にも言わんといてや』
　
　
桐「わーってるわーってる！でも、あれやで？2人がもし付き合うようになったらちゃんといじるからな」
　
　
女将「そうなったら私にも教えてね？」
　
　
　
そう言って2人はきゃっきゃっ盛り上がってる
　

　
　
『でも、あれっすね、さっきAちゃんが言ってたこと無視していいんかな』
　
　
女将「私からむやみやたらに口出しはできないけどさ、とりあえずあの子の言ったことは無視して大丈夫よ。よく分からない難しい現状に混乱しただけだと思うからさ」
　
　
『混乱させてる原因は俺やしな、』
　
　
桐「そやな～」
　
　
『照史やったらどうする？』
　
　
桐「俺やったら？んー、俺やったら、とりあえず淳太くんに相談する」
　
　
『なんやねんそれ！答えになってへんやないか』
　
　
桐「答えにはなってるやん！あの人意外と色々言うてくれるで？」
　
　
『いや、淳太はええねん！メンバーにはまだ知られたくないの！』
　
　
　

桐「あれ？ちょっと待って？そういやお前彼女おらんかったっけ？」
　
　
女将「え？！あんた彼女いんの？！」
　
　
　
女将さんが拭いてた包丁を握りしめて俺を睨む
　
　

『ちょっと、落ち着いてくださいよ！今はいないですから！』
　
　
桐「え、別れたん？」
　
　
『うん』
　
　
　
あの時、濵ちゃんにしたように全部2人に話した
　
　
なんだ～と胸を撫で下ろす2人
　
　
　

それから落ち着きを取り戻し改めて飲み直した
　
　
時刻は2時を回る