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当たり前に向けられる優しさ ページ7

「伊地知くんをこれ以上待たせるのもかわいそうです。早く行きますよ」

ほら、と目線で促され、Aはわけも分からぬまま右足を踏み出した。

雨音が木霊する。
ほんの少しよろめけば当たるであろう肩。
Aは必死に自分の呼吸を押し殺していた。

じわじわと顔に集中する熱に、Aは思わず俯こうとした。しかし、七海の濡れている右肩が目に止まり「あ」と小さく声をもらす。

「七海、せんせ、肩が濡れてる……」

よく見れば、七海は傘をわずかにこちらに傾けてくれていた。

心配そうに眉を下げるAに七海はなんてことないように首を横に振った。

「私は多少濡れていても問題はありません。それに、私は大人で君は子ども。大人には子どもを優先する義務があります」
「……子ども」
「えぇ。私から見れば君はまだ子どもです。……あと、私は教職ではないので先生はやめてください」
「じゃあナナミン?」
「引っぱたきますよ」

軽く交わされる会話にAは噴き出しかける。

それをなんとか堪えて困った顔をした。

「と、とにかく、私は大丈夫だから」
「虎杖さん」
「でも」
「虎杖さん」
「…………」
「こんなところで気を使わなくても良いです」
「……じゃあ、お言葉に甘えて」

黒い傘はAを雨から守る。
七海の肩は相変わらず濡れ続けて。でも、当の本人はまったく気にしていないように前を向いていた。

Aは唇を噛み締めた。

泣くのをこらえるために。

「ありがと、ナナミン」
「どういたしまして。それと、その呼び方はやめてください」

死ねと言われた。
化け物だと罵られた。
絶え間なく浴びせられる罵声に、Aはいつの間にか慣れていた。

でも、こんなにも当たり前に向けられる優しさがひどく嬉しくて、嬉しくて。

七海にバレないように、Aは目をこすった。

「…………」

目元を少し赤くした少女を見下ろし、七海はふっと
目を伏せた。

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(プロフ) - ハルヒさん» ハルヒさん、コメントありがとうございます!私もこの2人が大好きなんです〜!応援ありがとうございます!頑張ります!! (2021年1月13日 23時) (レス) id: 64b7ea7410 (このIDを非表示/違反報告)
ハルヒ(プロフ) - ヒェッ…ナナミン好きやからこの2人のカプ嬉しい…応援してます頑張ってください!!! (2021年1月13日 23時) (レス) id: 46554589d7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2021年1月6日 0時

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