最期に映るは彼女のこと ページ38
「くそ、くそくそくそっ！！」
ガン、ガンッと何度もAは目の前の黒いそれを叩く。
突如出現し、七海のみを飲み込んだこれは恐らく真人の領域。領域展開をしたのだ。
「ナナミン！ ナナミン！！」
領域内の攻撃は必中。
文字通り、手のひらの上。このままでは、七海が死んでしまう。
嫌な汗が全身から噴き出した。
荒い息を聞きながらAは必死に頭を回す。
どうすれば七海を助けることができるのか。どうすれば真人を殺すことができるのか。
足元からしびれが走る。焦りだけが募っていく。
――魂に触れて形を変える
ふと、Aの脳裏に七海の言葉が蘇った。それは、七海から真人という呪霊について教えてもらっていたときの言葉だった。
その発動条件は原型の手のひらで相手の体に触れたときのみ。でも、触れられてもAの体に異常はなかった。あの七海でさえ、一度触れらるだけで怪我をしたというのに。
なぜ？
なぜ、私にだけ効かない？
人と違うところ。それはAの内にいる呪いの王、両面宿儺。
Aは息を吐いた。
一か八か。
行くしかない。
術式が効かないのなら、領域内に入っても関係ない。少しでも、七海の力になれるのなら。
Aは軽い体さばきで校舎の壁を登った。
ちょうど黒い物体の真上が見えるところにたどり着くと、ぐっと体を縮め、勢いよく跳んだ。
「今はただ、君に感謝を」
微笑む真人に、七海は身につけていたサングラスを外す。
「必要ありません」
現れたコバルトブルーの瞳は穏やかだ。
死を眼前に捉えていながら、その男は落ち着きに満ちた笑みをその口元に浮かべていた。
「それはもう大勢の方にいただきました」
心の底から思う。
「悔いはない」
悔いはない。
そう、思っていた。
そっと閉じたまぶたの裏に映る一人の少女。
春の晴れた日のような笑顔を見せる少女。
他人のために本気で怒れる少女。
真っ直ぐで、純粋で、無邪気で、優しい少女。
気づけば、惹かれていた。
だが、この感情はしまっておかなくてはならない。
私は大人で彼女は子どもなのだから。
強く、強く、桜が舞った。
「ナナミン！！」
その声は、思いがけない強さで七海の全身を打った。
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柊(プロフ) - ハルヒさん» ハルヒさん、コメントありがとうございます！私もこの2人が大好きなんです〜！応援ありがとうございます！頑張ります！！ (2021年1月13日 23時) (
レス) id: 64b7ea7410 (このIDを非表示/違反報告)
ハルヒ(プロフ) - ヒェッ…ナナミン好きやからこの2人のカプ嬉しい…応援してます頑張ってください！！！ (2021年1月13日 23時) (レス) id: 46554589d7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：柊 | 作成日時：2021年1月6日 0時
