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叩き潰す ページ34

ただひたすらに体を動かせ。
考えている暇などない。
拳を振るえ。殴れ。一発でも多く、叩き込め。

何百回でも、何千回でも、ぐちゃぐちゃになるまで叩き潰す。

理性的な思考をトばしたAは、息をするのも忘れて動いていた。
ころころと形を変える目の前の憎い呪霊を殺すために。怒りと憎悪だけを動力源にして、瞬きもせず。

んべ、と舌を出した真人の左手が何本もの鋭利な刃物に変化する。

頭が処理するよりも早く、Aの体は襲いかかる刃物を避けるために足を動かしていた。
廊下の窓から、ガラスの破片とともに外へ飛び出す。

それを追尾する刃物たち。

空中で身をひねり、それも避けながらAはグラウンドに着地した。
ぎゅるりと三階にいる真人の腕が再び変形する。

ドリルのようになったそれが凄まじい勢いでAへ突っ込んできた。
ドリルは真人と繋がっている。これを掴んで、あそこから引きずり下ろす。

Aは両手でドリルの後ろについている紐の部分を掴んだ。

いつまでも伸び続けるわけではない。
なら、掴んだ者勝ちだ。

引っ張ろうとしたAは、両手に鋭い痛みを感じた。こちらを見下ろす真人の顔には笑みが浮かんでいた。

「――ッ!」

掴んでいた紐から、まるでウニのように針が飛び出した。
Aの手のひらを貫通し、痛みにAはギッと顔をしかめる。だがその手を放すことはなかった。

針がさらに深く突き刺さるのも気にせず、Aは思い切りそれを引っ張った。

ぶぅんっ、と三階から放り出された真人は校舎に体をぶつけながらグラウンドに落ちた。

「放すだろ、普通……」

呆れのまじった声で真人は呟く。
拳を振りかざし、駆け出すAを真正面から見た。

怒りに支配された顔をしていた。
己の体がどれだけボロボロなのかもわかっていない。
その両手にこめられた呪力の強さが、彼女の怒りを物語っていた。

大きく踏み出したAに触れようと手を伸ばした隙間をかいくぐり、彼女は真人の腹に握り拳をめり込ませる。
予想だにしなかった打撃。痛み。だが、すばらしいタイミング。

真人はニヤリと笑った。

刹那、Aの胴に幾本もの針が突き刺さった。

大きな背中→←すがりつく手は地面に落ちた



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(プロフ) - ハルヒさん» ハルヒさん、コメントありがとうございます!私もこの2人が大好きなんです〜!応援ありがとうございます!頑張ります!! (2021年1月13日 23時) (レス) id: 64b7ea7410 (このIDを非表示/違反報告)
ハルヒ(プロフ) - ヒェッ…ナナミン好きやからこの2人のカプ嬉しい…応援してます頑張ってください!!! (2021年1月13日 23時) (レス) id: 46554589d7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2021年1月6日 0時

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