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もしも ページ30

痛みに耐えるようにAは歯を食いしばる。

避けようと思えば避けることができたはずなのに。

「なんで……避けないんだよ」
「ごめん」

Aの右肩からは絶え間なく血が滴り落ちる。
それをそのままにして、Aは一歩、また一歩と順平に近づいた。

さっき順平を殴った右拳はじんじんと熱を持っている。
Aも、涙が止まらなかった。

「なにも知らないのに偉そうなこと言った」

順平の前で立ち止まり、Aはしゃがんだ。

血溜まりに、膝をつく。

「なにがあったのか、話して」

静かに手を伸ばす。
Aの温かな手は、順平の冷えきった手を優しく包み込んだ。

その温もりに、また涙が落ちる。

「あたしはもう、絶対に順平を呪ったりなんかしない」

涙でぐちゃぐちゃになった顔で。
情けなく震えた声で。
Aの手の温もりを感じながら、順平は今までのことをAに話した。









「……そんな……お母さんが……」

順平からすべてを聞いたAは、ぐっと目をつむって顔を伏せた。

いい人が、また一人、正しくない死によって死んでしまった。

Aは微かに震える順平の手を握りしめた。

「順平、高専に来てよ。バカみてぇに強い先生とか、頼りになる仲間とかがいっぱいいるの」

Aの目には強い意志があった。
それに吸い込まれるように、順平もじっとAを見つめ返す。

「みんなで協力すれば、順平のお母さんを呪った奴もきっと見つかる。必ず報いを受けさせてやる。だから」

一緒に戦おう。






もしも




「だれだ」

階段を降りてきた気配に、Aはサッと警戒をあらわにした。

両手を広げ、まるで舞台役者のように歩くその男の顔にはたくさんの縫い目があった。
その男の気配は、人のようで人ではない。

「はじめましてだね」

これは――


「宿儺の器」


男の右腕がぼこぼこっ、と巨大化した。

もしも願いが叶うのならば→←わからない



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(プロフ) - ハルヒさん» ハルヒさん、コメントありがとうございます!私もこの2人が大好きなんです〜!応援ありがとうございます!頑張ります!! (2021年1月13日 23時) (レス) id: 64b7ea7410 (このIDを非表示/違反報告)
ハルヒ(プロフ) - ヒェッ…ナナミン好きやからこの2人のカプ嬉しい…応援してます頑張ってください!!! (2021年1月13日 23時) (レス) id: 46554589d7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2021年1月6日 0時

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