悪意のない笑顔 ページ18
「じゃあ……まずは自己紹介から？」
Aのあとを順平は一歩下がって追いかける。
「あたしは虎杖A。高校一年」
「僕は、吉野順平。……ねぇ、虎杖、さん」
「ん？」
ポケットに両手を突っ込み、目的地もなく歩いているように見えるAに声をかける。
くるりとAは振り返った。
「わざわざあんなことしなくても、僕だけ引っ張っていけばよかったんじゃ……」
ズボンまで脱がすとは……ともごもごと言う順平にAは少し考えながら言った。
「でも順平、あいつのこと嫌いでしょ？」
「なんで……」
その通りだった。
自分の都合の良いようにしか解釈しない人間だった。都合が悪ければ目を瞑ってしまうような人間だった。
だから、嫌いだ。
「なんとなく。あっ、違った！？」
「違くないけど」
よかった、とAは笑う。
その笑顔は純粋なものだった。こんなにも嬉しそうに、悪意のない笑顔を見るのは本当に久しぶりだ。
眩しいものを見るように順平は目を細めた。
「それに、嫌いな奴にいつまでも家の前にいてほしくないでしょ？」
「……うん」
△▽△▽
ぐらり、と地面がかすかに揺らぐ。
土手に腰掛けたAと順平は驚いたように互いの顔を見合わせた。
「今、ちょっと揺れた？」
「うん。震度2くらいかな」
ポケットから出ようともがく蠅頭を片手で押さえながらAはスマホを耳に当てる。
さっきから何度も伊地知に電話しているのだが出る気配がないのだ。
「まって〜〜〜」
一方そのころ伊地知は、逃げ出したもう一匹の蠅頭を捕まえるために奮闘していた。
――渦巻きのボタンをしている学生に会ったら仲良くするといい。彼らは呪術師なんだ。
いつか言われた言葉が蘇る。
映画館で出会った呪い。真人。
彼と関わるようになってから今まで見えなかったものが見えるようになった。力の使い方を教えてもらった。
その真人が言っているんだ。きっと仲良くしたほうがいいのだろう。
(でも……呪術師って真人さんの敵なんじゃ……)
桜色の髪を揺らしながらなにやら悩んでいるAの横顔を盗み見る。
目元の非対称の傷痕が目を引くが、きめ細やかな肌に形の良い鼻。短いスカートから伸びる脚はすらりと長い。
「んーもういいや、聞いちゃえ！」
さっきまで悩んでいたのが嘘のように晴れた顔をしたAが横を見た。
至近距離で目が合う。
「ね、順平」
変にどぎまぎしてしまった。
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柊(プロフ) - ハルヒさん» ハルヒさん、コメントありがとうございます！私もこの2人が大好きなんです〜！応援ありがとうございます！頑張ります！！ (2021年1月13日 23時) (
レス) id: 64b7ea7410 (このIDを非表示/違反報告)
ハルヒ(プロフ) - ヒェッ…ナナミン好きやからこの2人のカプ嬉しい…応援してます頑張ってください！！！ (2021年1月13日 23時) (レス) id: 46554589d7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：柊 | 作成日時：2021年1月6日 0時
