62 ページ13
*
後ろで舌打ちが聞こえた気がしたけど、そんなことはどうでもいい。
丁度ドアの開いた人の多い電車に乗り込むと、ドア辺りの所に立って手すりを掴んだ。
「きょも、」
「…」
「きょも、大丈夫？」
「…水無瀬、俺ね」
「うん、電車降りたらちゃんと話聞くから。
大丈夫だよ」
「…うん」
あーあ。
勢いで恋人繋ぎも名前呼びもしちゃったし「彼氏」なんて言っちゃった。
これ絶対後で冷静になって死ぬやつだ。
(でも今はそんなことより…きょもだよな)
繋いだ手からまだ伝わってくる震え。
この人のこと守らなきゃいけないって、一瞬で、
でも確かに心からそう思った。
＿
「きょも、ちょっと座ろっか」
近所の公園について、ベンチに腰を下ろす。
電車を降りてからもずっと黙りこんでいたきょもの顔を覗き込む。
「…話せる？
ゆっくりでいいから」
「…ちゃんと、聞いてくれる？」
「もちろん」
不安そうに私の目を少しの間じっと見てまた俯くと、
きょもは意を決した様に話し始めた。
「…もうわかってると思うけど、あいつは小学校の時の同級生。
6年の時初めて同じクラスになって、告白された」
「うん」
きょもはやっぱり、昔から美形だったんだろうな。
それを知ってるあいつがちょっとだけ羨ましい。
「まだ恋とかよく分かんなくて。俺はその告白断ったんだよね」
「じゃあ、元カノじゃないんだね」
「うん。…だけど、
次の日から付き纏われるようになって」
そう言って顔を顰めるきょも。
…やっぱあいつがおかしいんじゃん。
「休み時間になると毎回話しかけてきたり、移動教室に着いてきたり…
わりと常に隣をキープされてる感じで。あと俺は知らなかったけど勝手に付き合ってるって言われてた」
「こっわ」
「最初はまだアピールされてんのかなって子供なりに解釈してたんだけど。
本気でヤバいって感じたのは、学校から帰ったら家の前で待ち伏せされてた時」
「…え」
「家の場所教えたことなんてなかったのに、なんで知ってんのってなって。
…初めて人が怖いと思った」
なんだそれ。
ただのストーカーじゃん。
小学生だから、なんて理由になんないよね。
大人になってからでさえ半端なく怖いんだから…子供が体験するには怖すぎる。
そりゃトラウマにもなるよ。
*
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 3345人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SnowMan」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みー(プロフ) - 紺さん» すみません、Twitterのほうが見当たらないのですが… (2022年3月3日 16時) (
レス) id: 98e8827874 (このIDを非表示/違反報告)
みー(プロフ) - 紺さん» 了解です！ありがとうございますm(__)m (2022年3月3日 16時) (レス) id: 98e8827874 (このIDを非表示/違反報告)
紺(プロフ) - 名無し10145号さん» コメントの返信が遅くなってしまってすみません😭「京本くんは砂糖対応。」さTwitterの方に全て移していますので、そちらで見ていただけたらと思います…！ (2022年3月3日 16時) (レス) id: 3f4dbcf23f (このIDを非表示/違反報告)
紺(プロフ) - みーさん» コメントに気づくのが遅くなってしまってごめんなさい…！「京本くんは砂糖対応。」はTwitterの方に全て移していますので、そちらで見ていただけたらと思います🙇♀️ (2022年3月3日 16時) (レス) id: 3f4dbcf23f (このIDを非表示/違反報告)
名無し10145号(プロフ) - こんにちは、京本くんは砂糖対応のパスワードが知りたいです💦よろしければ教えてください。 (2022年2月26日 10時) (レス) id: fdecf3783b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：紺
| 作成日時：2021年1月20日 19時
