6色と#ffffffの彼女【東海】

◎出会ったのは #黄 ページ32

しばゆーside




先生に頼まれた用事を終えて教室に戻る途中、階段で1人の女子を見た。

もう授業始まるまで何分もないのに何やってんだ？

知らない人だったし、そもそも自分から女子に声掛けるようなタイプでもないからスルーしといた。

俺も授業遅れるし、気にしないでいいよな、
そう思って歩き出す。



……………………あーもう！気になんなぁ！！


戻って階段から再び下を覗くと、まだ立ちすくんでいるその女子。

なんか分からんけど困ってそう。

…もう1回言っとくけど、俺は自分から女子に話しかけるようなタイプじゃない。知らない女子にならなおさらだ。

し「あの、どうしたんすか」

知らないうちに、声かけてた。
え、まじで俺どうした？？


急な俺の声に肩をビクつかせてぱっと俺を見上げたそのひと。
髪が光を受けて綺麗に揺れる。心底驚いた、という表情で俺を見た。


『あ、…ちょっと、迷っちゃって』


教科書を両手で抱えて、ははは、と恥ずかしそうに笑う。

上履きの色は俺と同じ、ってことは同学年か。
え待って、1年いて校内で迷うことある？


『あ、私、今年転校してきたんです』


し「……ああー！噂の！！」


『…噂、？？』


し「あぁ、超絶美人の転校生が来た！ってかなり有名ですよ」


『美人…？？それほんとに私のこと？』


し「いやそうでしょ！」


『はは、お世辞でも嬉しいわ』


謙遜とかじゃない、本気で思ってるような顔してる。
え、何この人謙虚すぎん？自分の顔鏡で見たことないの？

大きい目にスっと通った高い鼻、風になびく綺麗な黒髪。誰がどう見ても美人さんじゃん。

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