6色と#ffffffの彼女【東海】

◎出会ったのは #緑 ページ22

としみつside






『ね、何て呼べばいい？』


授業中ということもあって、声のボリュームは相当控えめ。こそこそと俺に問いかける。


と「いーよ何でも。鈴木でも、としみつでも」


『ん〜〜〜じゃ、としみつくんね！』


まじで。
さらっと『としみつくん』と放った彼女は、にこにこと俺の顔を見ている。


さっきてつやのことを『小柳津くん』と呼んだ事を思い出して、余計に口角が上がっていく。


『んふふ、としみつくん笑いすぎ』


と「…うるせーな」

『ね、私のことは呼んでくれないの』


目を輝かせてこちらに身を乗り出す。
やめろあんま近寄んな、！

と「分からん。…逆に何がいい？」


『ん〜〜小栗さんでも、小栗でも、…あ、この前の学校ではおぐちゃんとか栗ちゃんとかもあったな〜』

と「………じゃあ、A」


『っえ、』


さっきから俺ばっかドキドキさせられて悔しいから、仕返しに名前で呼んでやった。


『え！嬉しい！』


…はずなのに、言ったこっちがやばい。照れるわこんなん。
呼ばれた本人は嬉しそうにニコニコしてるし。


先生「おい鈴木ー、何ニヤニヤしてんだー」

ちょっと顔に出しすぎてたかも。

2人で顔を見合わせて笑い合うと、終わりのチャイムが響いた。

起立、の号令で席を立つと、


『さっき名前で呼ばれたとき、ちょっとドキッとしちゃった』


と前を向きながらそう言う。
そして礼をしたあとこっちを向いて、


『としみつくんの隣、楽しい』


首を傾げて、彼女は笑う。






…ほんとに勘弁してくれ。

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