6色と#ffffffの彼女【東海】 (ページ21)

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◎出会ったのは #緑ページ21

としみつside

『遅れてすみません！あ、小柳津くんは悪くありません、私に校内を案内してくれたんです』

一限の始まりのチャイムが鳴り終わった頃に戻ってきた転校生は、そう先生に謝ってからてつやに向かって小さく「ごめん」と手を合わせた。

もう「小柳津くん」なんて呼ぶ仲なんだ、

向こうの席に着いたてつやもニカッと笑って親指を立てる。

2人の仲は、間違いなく深くなっていた。
それはこのやり取りを見れば一目瞭然で。

と「…くっそ」

情けなく生じたこのいらいらはどこにもぶつけることが出来ず、小さく悪態をついて頭を乱暴にかく。

てつやに1歩先を行かれた感じがして気に入らねぇ。

よいしょ、と呟いて席に着いた彼女は、俺の方に身を乗り出して、

『ごめんねさっき、騒がしかったよね』

と申し訳なさそうに囁く。

と「いや別に。大丈夫」

「違う、君のせいでいらいらしてるんじゃないんだよ」なんて気の利いた言葉は出るはずもなく、何ともそっけない返事になってしまった。

何やってんだ俺。
ほんとは俺が1番最初に仲良くなりたかったのに。

俺のそんな様子に驚いたのか、俺に話しかけるのをやめて彼女は真剣に先生の話を聞き始めた。

ちらりと横目で彼女を盗み見る。

…絵になるなぁ。

1番窓際の席のため、彼女の後ろには窓越しに綺麗に晴れた空が広がっていた。

窓から吹き込む春の柔らかい風が、彼女の綺麗な髪を揺らしてみせる。

顔にかかった髪を右手で掬い耳にかける、
その仕草が、
横顔が、

と「…ばか綺麗」

『？』

くるっとこっちを向いて、「何か言った？」とでも言いたそうな顔。

あれ、俺今声に出てた？

と「あ、いや、何でもない」

『ふふ、そう？』

頬杖をついたまま静かに笑う彼女に、思わず笑みが零れてしまう。

『あ、笑った』

と「え？」

『いや、私が来てからずっと真顔だったから、迷惑だったかなって思って』

良かった、と微笑む彼女に、胸が高鳴った。

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これからも楽しんで頂けるよう頑張ります( ¨̮ )