6色と#ffffffの彼女【東海】

◎出会ったのは #緑 ページ20

としみつside





第一印象は、「気が強そうな女」だった。


2年生が始まって最初の日。
担任の声で教室に入ってきたその女は、まっすぐ前を見て小栗Aと名乗った。


笑みを浮かべながら自己紹介を終えると、空いている席に移動して…え、まさかだけど



俺の隣…！？



いや確かに隣の席空いてんなとは思ったけど。
今日休みなんかなとか思うやん？


胸あたりまである綺麗な黒髪をなびかせてこちらへ歩いてくる。


クラスの全ての視線を集めて俺の隣に腰掛けた彼女は、


『…よろしくね』

と少し小さな声で俺に声をかけた。

と「お、おう」

何だか気恥ずかしくて一言だけ返し顔を伏せる。


ホームルームが終わると教室はたちまち賑やかになる。
その人だかりの中心にはさっきの転校生。


隣の席で次々と飛び交う質問の声が鬱陶しい。

かと思えば、今年同じクラスになったてつやがその転校生と教室を出ていきいつの間にかその賑わいは落ち着いていた。




………可愛かった。


俺の顔を覗き込みながら

ふわりと柔らかく微笑んで

俺にだけ聞こえるような声で。




彼女の表情や声が脳に焼き付いて離れない。


ニヤけが止まらない俺は、

ホームルームが終わっても顔を伏せたままあげられないでいた。

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