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鱗滝「お前の存在は、お前の鎹鴉から聞いていた。ただ記憶がないようなので、戻ってくる可能性は低かったのだが…用意せずにはいられなかった。」
「師匠…」
Aが嬉しさで目を潤ませていると、玄関から鱗滝とAを呼ぶ大きな声が聞こえた。
鱗滝「朝からうるさい奴だ。」
「最悪…」
二人共声の主をわかっているようで、鱗滝は呆れた顔、Aは心底嫌そうに眉をひそめて玄関へと向かう。
玄関では、ひょっとこの面を着けた男が仁王立ちをして家主を待っていた。
この男は鬼殺隊御用達の刀鍛冶の里の人間で、名を鋼鐵塚蛍である。
現在里は鬼殺隊だけでなく、高級料亭から一般家庭で使われるものまで、様々な形の包丁を世に送り出している老舗企業となった。
鋼鐵塚「久しいなA、本当に来てたんだな!会いたかったぞ!」
「私はあまり会いたくありませんでしたけどね。」
鋼鐵塚「そうかそうか!お前も会いたかったか!」
鱗滝「相変わらず人の話を聞かん奴だ。」
鋼鐵塚は靴を脱いで式台に上がると、Aを力一杯抱き締めた。
Aが苦しいと言いながら彼の腹を殴りつけるが、これっぽっちも効いていないらしい。
鋼鐵塚「ハハハ!なんだA、弱くなったなぁ!」
「相変わらず腹立つ人ですね。鍛錬して元に戻ったら真っ先に殴ってあげますよ。」
鋼鐵塚「今まで鍛錬してこなかったのか?」
腕を解いてAを見下ろす彼の表情は、面のせいで読み取ることが出来ない。
だが昔付き合いの深かったAは、彼が驚いた表情をしているのが容易にわかった。
「昨日昔のことを思い出したんだから、仕方ないでしょう。」
鋼鐵塚「…え?」
「え?」
思ってもみなかった反応に、Aは目を丸くさせ鋼鐵塚を見つめ返す。
鋼鐵塚「昨日?昨日だと!?じゃああれか!?今まで近くにいたのに全く接触がなかったってことか!?鱗滝!どういうことだ!」
鱗滝「Aの存在を知っていたのは儂と御館様のみだ。恐らく里にはお前の刀を打ち直すよう依頼が来て、それで此奴はここを訪ねて来たんだろう。」
「え、私の刀打ち直してもらえるんですか?」
鋼鐵塚「この俺が打ち直してやるんだ!有り難く思え!」
「それはまぁ…ありがとうございます。」
素直に感謝を述べるAに、鋼鐵塚は満足そうにふんぞり返った。
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子持ちししゃも(プロフ) - 藍璃さん» ありがとうございます!頑張って更新します! (4月25日 21時) (レス) id: 197a8307a1 (このIDを非表示/違反報告)
藍璃(プロフ) - 好きです!!!!更新待ってます!!!! (4月25日 18時) (レス) id: f0cad43b09 (このIDを非表示/違反報告)
ユノン - 分かりました、更新はゆっくりでいいですよ (3月16日 8時) (レス) id: f5fff43cec (このIDを非表示/違反報告)
子持ちししゃも(プロフ) - ユノンさん» コメントありがとうございます。すみません、無惨様その他の過去の鬼達は出る予定がありません😭記憶の一部とかには出す予定ではありますが、夢主は半天狗と接触してないという設定で考えていたので、彼は出てきません😭ほんとすみません😭 (3月15日 22時) (レス) id: 197a8307a1 (このIDを非表示/違反報告)
ユノン - 子持ちししゃもさん» 半天狗の喜怒哀楽の鬼を出して欲しいです! (3月15日 15時) (レス) id: f5fff43cec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:子持ちししゃも | 作成日時:2023年10月19日 23時