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武道「あの…いいんスか?」
外に出た武道が尋ねると、炭治郎は首を傾げる。
炭治郎「何が?」
武道「だってその…鱗滝さんって人と姉ちゃん、初対面なんじゃ…」
炭治郎「あぁ、大丈夫だよ。だって二人共、嬉しそうな匂いがしたから。」
武道「嬉しそうな…匂い?」
なにを言っているんだとでも言いたげな顔の武道に、炭治郎は笑って自身の鼻を指差す。
炭治郎「俺、人より鼻が利くんだ。だから人の感情も分かるんだよ。」
武道「へ、へぇ?」
更に困惑している武道に、炭治郎はただ嬉しそうに笑うだけだった。
どのくらい経っただろうか。
中から炭治郎を呼ぶ鱗滝の声が聞こえ、炭治郎は縁側から障子を開ける。
泣いていたAは鱗滝の膝に頭を預け、静かに寝息を立てていた。
鱗滝「Aはこのまま泊まらせる。武道殿を家まで送ってあげなさい。」
炭治郎「わかりました。」
武道「え、でも…」
鱗滝「心配せずとも、明日にはきちんと帰らせる。こうなってしまったら、この子はどうやっても離さないのでな。」
そう言って鱗滝は、Aの手を撫でる。
その手はしっかりと鱗滝の服を掴んでおり、無理に離そうとすれば布が千切れてしまいそうなほどである。
こんな幼い子供のような姉を見たことがない武道は、目の前で眠る彼女は誰だ、と戸惑いの目を向けていた。
それに気付いた炭治郎は苦笑し、鱗滝に挨拶をして武道を連れて出るのだった。
_____
翌朝、目が覚めたAは飛び起きて周囲を見回す。
昨日と同じ景色に安堵していると、隣からAを呼ぶ鱗滝の声が聞こえた。
目を向ければ、面を外した状態の師が寝転がってこちらを見ていた。
「夢じゃなかった…」
鱗滝「コラコラ、また泣くんじゃない。朝食の用意をするから、今のうち風呂に入ってくるといい。」
鱗滝はAを風呂場へ案内すると、後で着替えを置いておくと言って洗面所を出て行った。
Aが風呂から上がると、洗面所には真新しい女性物の作務衣が置かれていた。
袖を通すとサイズはピッタリで、色合いもAに似合うものだった。
髪を乾かして居間へ戻ると、テーブルにおかずを並べていた鱗滝が優しい表情を向ける。
鱗滝「丈は合ったようだな。」
「コレ、もしかして炭治郎君の妹さんのですか?」
鱗滝「いや、お前のだ。」
その言葉にAが首を傾げると、鱗滝は少し照れたように目を伏せた。
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子持ちししゃも(プロフ) - 藍璃さん» ありがとうございます!頑張って更新します! (4月25日 21時) (レス) id: 197a8307a1 (このIDを非表示/違反報告)
藍璃(プロフ) - 好きです!!!!更新待ってます!!!! (4月25日 18時) (レス) id: f0cad43b09 (このIDを非表示/違反報告)
ユノン - 分かりました、更新はゆっくりでいいですよ (3月16日 8時) (レス) id: f5fff43cec (このIDを非表示/違反報告)
子持ちししゃも(プロフ) - ユノンさん» コメントありがとうございます。すみません、無惨様その他の過去の鬼達は出る予定がありません😭記憶の一部とかには出す予定ではありますが、夢主は半天狗と接触してないという設定で考えていたので、彼は出てきません😭ほんとすみません😭 (3月15日 22時) (レス) id: 197a8307a1 (このIDを非表示/違反報告)
ユノン - 子持ちししゃもさん» 半天狗の喜怒哀楽の鬼を出して欲しいです! (3月15日 15時) (レス) id: f5fff43cec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:子持ちししゃも | 作成日時:2023年10月19日 23時