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武道「姉、ちゃん…なんでここに?」
「なんでって、通学路だもん。当たり前でしょ?」
佐野「オネーサン、タケミっちの何個上なの?」
「二つよ。」
佐野「ふーん……俺マイキー。よろしく。」
Aは自転車から降りてスタンドを立てると、差し出された手を握った。
佐野は握った手を少し自分の方へ寄せ、Aと顔を近付ける。
佐野「オネーサン、あんまタケミっちと似てないね。」
「ふふ、よく言われる。」
佐野は笑って手を離すと、武道とAに別れを告げた。
去り際に龍宮寺が言った"考えとけ"という言葉に、Aは首を傾げ何の事かと武道に尋ねる。
武道「あ、いや別に…」
「まぁいいや…武道。」
武道「ん?」
「怪我してもいいけど、危ない事はしないでね。」
真剣な表情のAに、武道は心臓がドクリと脈打つ。
Aはすぐにいつもの優しい顔に戻ると、「帰ろっか」と自転車に跨り、武道は彼女に促され後ろへと跨った。
「そういえば武道、最近また"姉ちゃん"に戻ったよね。」
Aはペダルを漕ぎながら、後ろの武道に話し掛ける。
どうやら武道がタイムリープするまでは、彼はAの事を"姉貴"や"お前"と呼んでいたらしい。
武道が彼女を呼ぶ際"姉、ちゃん"と言葉に詰まってしまうのは、急に呼び方を変えたから慣れていないだけだと思われているようだ。
実際はAを姉と認識して日が浅い為なのだが。
「どういう心境の変化?別に変えなくてもいいんだよ。」
武道「べ、別に深い意味はない…かな?」
誤魔化す武道に、Aは「変な武道」と可笑しそうに笑う。
武道は自分が後ろで、表情が彼女に見えなくてよかった、と考えながら、自転車を漕ぐ姉の背中を見つめ、静かに息を吐くのだった。
_____
週末の昼過ぎ。
Aはある目的の為、最寄り駅から二つ程離れた町へと出掛けた。
電車を降りると、Aはバッグから四つ折りにされた紙を取り出し、そこに書かれた通りの道順を歩き始める。
暫く歩くと、焼けた小麦の香ばしい香りが漂ってきた。
Aは頬を緩め、歩く速度を少しだけ早める。
彼女が足を止めたのは、【竈門ベーカリー】と書かれた店の前だった。
扉を開け中へ入ると、Aは深く息を吸い、肺いっぱいに空気を入れ小麦の香りを堪能する。
いらっしゃいませ、と声を掛けられ目を向ければ、レジで作業をしている男の子がにこやかな笑顔を向けていた。
外見からして武道と同じぐらいであろう彼は、恐らくここの息子なのだろう。
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子持ちししゃも(プロフ) - 藍璃さん» ありがとうございます!頑張って更新します! (4月25日 21時) (レス) id: 197a8307a1 (このIDを非表示/違反報告)
藍璃(プロフ) - 好きです!!!!更新待ってます!!!! (4月25日 18時) (レス) id: f0cad43b09 (このIDを非表示/違反報告)
ユノン - 分かりました、更新はゆっくりでいいですよ (3月16日 8時) (レス) id: f5fff43cec (このIDを非表示/違反報告)
子持ちししゃも(プロフ) - ユノンさん» コメントありがとうございます。すみません、無惨様その他の過去の鬼達は出る予定がありません😭記憶の一部とかには出す予定ではありますが、夢主は半天狗と接触してないという設定で考えていたので、彼は出てきません😭ほんとすみません😭 (3月15日 22時) (レス) id: 197a8307a1 (このIDを非表示/違反報告)
ユノン - 子持ちししゃもさん» 半天狗の喜怒哀楽の鬼を出して欲しいです! (3月15日 15時) (レス) id: f5fff43cec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:子持ちししゃも | 作成日時:2023年10月19日 23時