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「パン屋さん行ってから、いつも行ってるお香のお店に行ってきたよ。」
武道「そっか。」
お香について詳しくない武道は、その店で煙草に似た香りが衣服に付いたのだろうと一人納得する。
武道「そうだ、今度さ…」
しばらく歩きながら話し、ふとなにかを思い出した武道が話題を変えようと口を開いた時、二人の前に誰かがユラリと現れた。
武道とあまり変わらない身長のその男はよだれを垂らしており、ボサボサの髪の毛を掻きむしる腕は異様に細く、爪は尖っている。
男は充血した目で二人を見据えると、ニタリと口角を上げて笑った。
男「肉だ…肉と血をよこせ…」
武道(なんだコイツ?肉…血…?……まさか!)
武道は先日の、キヨマサの腕を切った男を思い出した。
その瞬間あの時の光景が頭に浮かび、武道は全身が震え出すのを感じた。
「武道。」
Aは武道の名を呼ぶと、彼を後ろに隠すように前に出る。
「逃げなさい。この人は私がなんとかするから。」
武道「姉ちゃ…」
「早く。」
Aは男にバレないよう小さな声で囁き、後ろ手で武道を押した。
その手が震えていることに気付いた武道はハッとする。
武道(今ここで逃げたら姉ちゃんが…でもこのままいても、きっと未来の新聞の通りになっちまう……だったら…!)
武道はグッと拳を握ると、意を決して真っ直ぐ前を見つめる。
武道「姉ちゃん!」
「え、わっ!」
武道はAの手を取り、男とは反対側に向かって走り出す。
二人はどこへ向かうわけでもなく、ただひたすら走った。
一定の距離を保ったまま後ろから追ってきている男は、まるで鬼ごっこをしているかのように楽しそうにである。
男「なぁ!そろそろ食わせろよぉ!」
男はその細腕からは想像もつかないような力で、側にある家のコンクリート塀の一片をむしり取る。
そしてあろうことか、それを二人目掛けて投げつけた。
「うっ…」
最悪にも投げられたものはAに当たり、彼女は気を失ってしまった。
武道「姉ちゃん!」
倒れた姉を武道は必死に揺するが、当然彼女が目を開けることはない。
武道はAを担いで逃げようとしたが、いつの間にか男が真後ろに立っており、武道は腰を抜かしてしまった。
終わりだ_折角過去に戻ってきたのに、また姉を助けられないのか_。
武道がそう感じた時、脇道から何かが飛び出して来た。
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子持ちししゃも(プロフ) - 藍璃さん» ありがとうございます!頑張って更新します! (4月25日 21時) (レス) id: 197a8307a1 (このIDを非表示/違反報告)
藍璃(プロフ) - 好きです!!!!更新待ってます!!!! (4月25日 18時) (レス) id: f0cad43b09 (このIDを非表示/違反報告)
ユノン - 分かりました、更新はゆっくりでいいですよ (3月16日 8時) (レス) id: f5fff43cec (このIDを非表示/違反報告)
子持ちししゃも(プロフ) - ユノンさん» コメントありがとうございます。すみません、無惨様その他の過去の鬼達は出る予定がありません😭記憶の一部とかには出す予定ではありますが、夢主は半天狗と接触してないという設定で考えていたので、彼は出てきません😭ほんとすみません😭 (3月15日 22時) (レス) id: 197a8307a1 (このIDを非表示/違反報告)
ユノン - 子持ちししゃもさん» 半天狗の喜怒哀楽の鬼を出して欲しいです! (3月15日 15時) (レス) id: f5fff43cec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:子持ちししゃも | 作成日時:2023年10月19日 23時