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一緒に行こう、と咄嗟に声を大きくする武道に、Aは少々驚いた表情を浮かべる。
だがすぐに笑って、「約束」と小指を彼に差し出した。
「ドラケン君、早く良くなるといいね。」
武道「うん……そうだ姉ちゃん、"テンギョウ"ってなんだか知ってる?」
テンギョウ?とAは首を傾げ、頭の中で漢字を当てはめていく。
「あ、もしかして天慶かな?ちょっと携帯貸して。」
Aは武道から携帯を受け取ると、文章作成欄で漢字を変換してみせる。
「はい、これで天慶。確か平安時代の年号だよ。」
武道「へぇ、これがテンギョウ…姉ちゃん、流石現役だね!」
「なに言ってるの?武道も現役でしょ?」
武道「う、うん、そうだね!?あ、あはは…」
明らかに動揺する武道に、Aは可笑しそうに笑うのだった。
_____
一週間後龍宮寺は一般病棟に移り、Aと武道は見舞いへと向かった。
ベッドの上体を起こしてバイク雑誌を読んでいた龍宮寺は、A達に気付くとテーブルに雑誌を置いて微笑んだ。
龍宮寺「ようタケミっち、Aさん。」
「こんにちは、調子はどう?はいコレ、お見舞い。」
龍宮寺「ありがとうございます。治りが早いって医者が驚いてました。ところで…」
Aから見舞品のフルーツ籠を受け取ると、龍宮寺はしかめた顔を武道に向ける。
龍宮寺「なんだその浮かれた格好…ダセェぞ。」
武道「なっ…」
「一般的に見てもやっぱダサいのか…武道の服、いつも変なのしか着ないから見慣れて特に気にしなかった。」
龍宮寺「止めてくれよ…」
武道「二人にはわかんねぇよ…日陰で生きてきた俺の気持ちが…」
武道は下を向いて、拳を握り締める。
そして勢い良く顔を上げたかと思えば、物凄い剣幕で龍宮寺に詰め寄った。
武道「初めて人に尊敬されたんスよ!?ちょっとぐらい浮かれたっていいじゃんか!」
龍宮寺「よくそんな悲しい事を声荒げて叫べるな…」
?「全くだ。おいガキ、ここは病院だぞ。喚くな。」
突然加わった声に、A達は聞こえた方を振り返る。
病室の入口には男性の看護師が立っていて、眉間に皺を寄せながらこちらを見ていた。
看護師「これだからガキは嫌い……ん?」
看護師はAと目が合うと、驚いた様子で近付いて来た。
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子持ちししゃも(プロフ) - 藍璃さん» ありがとうございます!頑張って更新します! (4月25日 21時) (レス) id: 197a8307a1 (このIDを非表示/違反報告)
藍璃(プロフ) - 好きです!!!!更新待ってます!!!! (4月25日 18時) (レス) id: f0cad43b09 (このIDを非表示/違反報告)
ユノン - 分かりました、更新はゆっくりでいいですよ (3月16日 8時) (レス) id: f5fff43cec (このIDを非表示/違反報告)
子持ちししゃも(プロフ) - ユノンさん» コメントありがとうございます。すみません、無惨様その他の過去の鬼達は出る予定がありません😭記憶の一部とかには出す予定ではありますが、夢主は半天狗と接触してないという設定で考えていたので、彼は出てきません😭ほんとすみません😭 (3月15日 22時) (レス) id: 197a8307a1 (このIDを非表示/違反報告)
ユノン - 子持ちししゃもさん» 半天狗の喜怒哀楽の鬼を出して欲しいです! (3月15日 15時) (レス) id: f5fff43cec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:子持ちししゃも | 作成日時:2023年10月19日 23時