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一連の出来事に武道は腰を抜かし、水音を立て地面へと尻もちをついた。
日向「武道君っ!」
武道「ヒ、ヒナ…」
武道を心配して駆け寄った日向だったが、彼女もまた、恐怖で身体が震えていた。
ガサガサと公園の茂みが揺れ、一同はビクリと身体を震わせる。
今度はなんだ、と鼓動を激しく動かしながら様子をうかがっていると、茂みからいくつかの影が飛び出して来た。
武道「うわぁぁぁ!!」
千堂「うわぁ!?なんだよ!大きな声出すなよ武道!」
武道「あ…アッくん!」
飛び出して来たのは武道の友人達四人で、彼等は武道や龍宮寺を心配して来たのだという。
千堂の後ろにいた山岸は、側で膝を付いているキヨマサに気が付き、ギョッと目を見張り悲鳴を上げる。
山岸「キ、キヨマサ君の腕が!!」
その声で他の三人も目を向けると、顔を真っ青にして二、三歩後退る。
キヨマサは出血が多いようで、顔面蒼白になっていた。
遠くから救急車の音が聞こえ、エマと日向は救急隊を呼ぶために大通りへと走る。
龍宮寺「オ…イ、キヨマサ…大丈夫…か?」
龍宮寺も出血が酷いため、途切れ途切れキヨマサに尋ねる。
真っ白な顔をしたキヨマサは、残った方の手で切断された腕を持ちながら、何かを小さく呟いていた。
その後救急隊が到着し、龍宮寺とキヨマサは病院へ運ばれ一命を取り留めた。
日付を跨ぎ深夜の帰宅という事もあって、武道は音を立てないよう静かに玄関の扉を開ける。
家の中はしんとしており、鍵を閉める音がやけに大きく感じられた。
忍び足で階段を上がり、自室のドアノブに手を掛ける。
「武道?」
心臓が跳ね上がり、武道は声にならない悲鳴を上げる。
武道がそっと振り返ると、眠そうな顔をしたAがこちらを見ていた。
武道「ね、姉ちゃん…びっくりさせんなよ…」
「今帰ったの?随分と遅かったね…って、」
Aは目を見開くと、武道の服に手をかける。
「酷い血!怪我してるの!?」
武道「ち、違う!俺じゃなくて!…実は、」
武道は先程の出来事を、簡潔に話した。
だがあの触手を生やした男の事は説明しなかった__いや、出来なかった。
武道(あんなの、どう説明したらいいのかわかんねぇよ…)
暗い顔をする武道に、Aは微笑んで彼の頭を優しく撫でる。
「そんな顔しないの。ドラケン君、助かったんでしょ?」
武道「う、ん…」
「面会出来るようになったら、一緒にお見舞い行こう。別でもいいけど。」
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子持ちししゃも(プロフ) - 藍璃さん» ありがとうございます!頑張って更新します! (4月25日 21時) (レス) id: 197a8307a1 (このIDを非表示/違反報告)
藍璃(プロフ) - 好きです!!!!更新待ってます!!!! (4月25日 18時) (レス) id: f0cad43b09 (このIDを非表示/違反報告)
ユノン - 分かりました、更新はゆっくりでいいですよ (3月16日 8時) (レス) id: f5fff43cec (このIDを非表示/違反報告)
子持ちししゃも(プロフ) - ユノンさん» コメントありがとうございます。すみません、無惨様その他の過去の鬼達は出る予定がありません😭記憶の一部とかには出す予定ではありますが、夢主は半天狗と接触してないという設定で考えていたので、彼は出てきません😭ほんとすみません😭 (3月15日 22時) (レス) id: 197a8307a1 (このIDを非表示/違反報告)
ユノン - 子持ちししゃもさん» 半天狗の喜怒哀楽の鬼を出して欲しいです! (3月15日 15時) (レス) id: f5fff43cec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:子持ちししゃも | 作成日時:2023年10月19日 23時