【3年A組】バカと天才は紙一重

二十一バカ ページ22

甲斐「おいバ川！！バカのくせに何考えて……！」

『きたらおすよ。
ごめんね、かいくん。わたしばかだから』


甲斐くんのこと、何も分からなくてごめん。
そんな意味も込めて、せんせいの腕をより強く掴んだ。


柊「……はっ、ははっ、
ははははははははははははは！！」


ずっと黙っていたせんせいが大きな声で笑い始めた。どうして、この状況で笑えるんだろう。

…そう思っていたら、背中で押し退けられ拘束を解かれた。油断大敵。私のミスだ。


柊「翠川、そして茅野。さっきからお前達の行動には驚かされてばかりだよ。特に翠川、まさかのお前が一瞬とはいえ俺を拘束できた。先生びっくりだよ。

……それに比べて、



.



お前ら全員、揃いも揃ってクズだなぁ！！」


先生はそう言って嘲笑に近い笑顔を見せた。


中尾「何だと…？」

柊「自分が助かれば他人がどうなっても構わない…イカれてるねぇ。どうしてそんな、貧しい考えが生まれるのか…

モラルの欠如、アイデンティティの拡散…要は中身が空っぽなんだよ！！」


ぶっきーせんせいの言葉は、刃物だ。


柊「お前達はさっきの茅野や翠川を見て何も思わなかったのか？

景山の死から目を背けていた自分を奮い起たせて向き合おうとした茅野を！お前達の中身を少しでも埋めようと説き続けた翠川を見て何も思わなかったのか!

過去の自分が今の自分を作る！だから、過去から逃げてるお前も！お前も！！お前も！！！極めて幼稚なガキのまま成長が止まってるって訳だ。



そんな奴らがいったい何から卒業するって言うんだよ！！」


その刃物はこびりついて離れない。


柊「いいか！聞け！！何故、景山澪奈は死ななければならなかったのか！！これから彼女の生きざまを通して、お前らの考えがいかに脆く弱いものなのか、思い知らせてやる！！」


…けれど、痛くない。
とっても痛いのに、痛くないんだ。

中尾くんがせんせいに摑みかかる。
けれどせんせいは中尾くんの手を躱し、逆に自分が中尾くんに掴みかかった。


柊「そして…変わるんだ。


悪意にまみれたナイフで汚れなき弱者を傷つけないように！変わるんだよ！！




.





.





変わってくれ…」


せんせい、そんなになかないで。

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