田中洸希の憂鬱日記

１ ページ1

バスから降りて、学校に向かう途中。
俺を見た女が朝からぎゃー！と騒ぎ出す。




音楽も何もつけてないけど、そんな女たちの声が鬱陶しくてイヤホンを両耳に差し込む。





「あの、洸希くんっ！」





こうやって声をかけてくる子もたまにいるんだけど俺が今イヤホンつけてるの見えてるよね？

声かけて欲しくなくてイヤホンしてるわけだから、そういうのは本当に察しろって感じ。




そう心の中で毒を吐き、女の声を無視して
クラス表を見る。あぁ、3年1組……。



重い体を教室まで運んで、俺はとりあえず適当な席に座った。窓側の1番後ろ。



なーんにも聞こえないふりをして、ただただ登校してくる人を眺める。



カップルで登校してたり、友達同士で登校してたり、一人で登校してたり。いろんな人がいるから見てて飽きない。



ああ、こいつはこんな性格なんだろうな、だから一人なんだろうな、とか勝手に思ってみたり。




人間観察が趣味と言ったらキモがられるだろうか。

それとも、洸希君は何してもかっこいいー！って言われるだろうか(自意識過剰)。



まあなんにせよ、この生活もあと一年したらオサラバだ。周りでコソコソと俺の噂をしてるやつらとも、あと一年でお別れ。





あと一年。
たった一年我慢すればいい話だ。








そう自分に言い聞かせて、頭を伏せた。






あぁ…お腹すいたなぁ。

2→

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す