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『え?!』
松村「そんな驚く?笑」
『私、松村くんに似てるなって思った』
松村「えぇ、似てないよ。こんな可愛くないし」
えっ、って驚いてるとニヤって笑って私の手を取った。
突然繋がれた手が熱くなって頭が真っ白になる。
どうしよう、こんなの、こんなの、好きに、なっちゃうじゃん。
そんな焦った私の気持ちなんか知らない松村くんは私の顔を覗き込んできた。
松村「…照れてる?」
『え、だって、…えぇ、』
松村「早く今読んでるの読み終わってね」
『あ、うん、』
松村「早く語り合いたいからさ」
それからは、何を話したのかわからなくって、ただ繋がれてる手が熱かったことだけは分かってる。
話したことすら忘れるくらい、その時の私はテンパってた。
なんなら、どんなことを口走ってたのかすら分からない。
気付いたら自分の家の前で、いつの間にか手は離れてた。
松村「今日、ほんとありがとね。」
『ううん、楽しかった』
松村「会った時、言えなかったけど…服も髪も、雰囲気も全部似合ってていいと思う」
『あっ、ありがと、』
松村「…また、どっか行こう」
『っ、うん!!』
また明日って手を振る松村くん。
この前みたいに同じように数歩進んで振り返って手を振っての繰り返し。
その仕草に自然と頬が緩んでて、また明日会うのが楽しみになる。
今でも癖で、気が付いたら自分の手のひらを見つめてしまうことがあるんだ。
たった108円って、誰かに笑われたけど、私にとってその108円のキーホルダーは今も大切に保管してあって。
それを眺める度に泣きそうになったり、思い出して幸せになったり。
あぁ、もう戻れないんだ。
最後にはそう思うんだ。
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つばさ(プロフ) - 今、こういった低評価で悩まされてる作者様が増えています。とても面白いのであまり気にせず更新して欲しいです。ちなみに7つめの原石…も読ませて貰ってます!七瀬様のペースでご無理なく! (2021年9月3日 16時) (レス) id: a84a28701a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:七瀬 | 作成日時:2021年9月3日 0時