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渡辺家を出て駅に向かう。
行く場所は電車で一駅の隣町の本屋さん。
電車に乗ろうとするとまさかの遅延をしてて、割と早めに家を出たのに遅れそうで怖い。
結局五分くらい遅れちゃって。
連絡手段なんか持ってないから、焦って改札を出てあたりを探す。
『え、どこ…?』
キョロキョロと見渡すけど松村くんらしき人物はいなくって、しかも人の多さで見つけることが困難だった。
もしかして、遅いから帰っちゃったのかな?
そんな予感が頭をよぎったその時だった。
松村「やっ、と見つけた…」
後ろから覆いかぶさるように肩を組まれて、驚いて横を見れば真横に松村くんの整った顔。
『っ、』
松村「…え、なんか顔違う」
『あ、えっと、うん、』
松村「すごい。瞼キラキラしてるし口もプルプルしてる」
そんなすぐ分かるもん?もしかして気合い入れすぎた?変に思われるかな。
なんて思ってたら、小声で、
松村「似合ってる。」
って言ってくれて頬が緩む。
行くよって背中を押されて歩き出す。
周りの人から見たら、私たちって恋人みたいに見えてるのかな。
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松村「こっち来るの久しぶりなんだよね。深澤さんって普段こっち来る?」
『ううん、あんまり来ないかも』
最寄りの駅の方にはゲーセンないけど、こっちには割とあるからお兄ちゃんとよく遊びに来る程度。
ゲーセン以外はあんまり行かないからなぁ。
そういえば、本屋さん行きたいって言ってたけど最寄りの駅にも本屋さんあったのにな。
『そこの本屋さんじゃないと無い本なの?』
松村「あー、うん。」
『へぇ』
どんな本なんだろうなぁって歩いてると、突然松村くんが私の腕を引っ張った。
うわってコケかけて、松村くんの肩におでこをぶつけちゃう。
これ、周りから見たら抱き締めてるように見えない?
って、邪な気持ちでいたら後ろをシャーッ、っていう何かが猛スピードで通り過ぎた音が聞こえた。
『え、』
松村「あっぶな、スピード落として走れよ」
低い声が頭上から降ってきて心臓がギュッと苦しくなる。
もしかして、守ってくれた?
体制はそのままで、ゆっくり離れれば松村くんが私の顔を覗きんだ。
松村「ごめんいきなり引っ張って」
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つばさ(プロフ) - 今、こういった低評価で悩まされてる作者様が増えています。とても面白いのであまり気にせず更新して欲しいです。ちなみに7つめの原石…も読ませて貰ってます!七瀬様のペースでご無理なく! (2021年9月3日 16時) (レス) id: a84a28701a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:七瀬 | 作成日時:2021年9月3日 0時