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＊ ページ8
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初めて見た、康二くんの傷ついた、顔を。
苦しそうで、哀しそうな顔。
今まで、たくさん目黒の話をしたけどそんな顔一度も見たことないよ、なんて。
今は言えるわけなくて。
ただ、言われた通りに待つことしか私には出来ない。
「んー、あー…」
言葉にならない感情をどうにか伝えようと必死に言葉を探す康二くんの瞳は、宙を泳いでいる。
いてもたってもいられなくて、頬を両手で捕まえる。
「え、？」
『…ごめんなさい、こんなお願い、ダメだって分かってるんだけど…』
もう、罪悪感も、唇に残った感触も、何もかも消えないから。
最低な願いだとしても、せめて。
『き、キス、させてください…』
泳いでいたはずの目は、私を捉えて、これでもかとばかりに見開かれている。
また、私の知らない顔だ。
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作者名：平野 頼凛
| 作成日時：2019年9月21日 13時
