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「おわっ!びっくりしたあ。」
その声すら優しくて、奥の方で抱えていたものが全部弾けるみたいに、涙が溢れた。
『こ、じ、く…ごめん、ごめ、なさ…』
ボロボロ涙が零れて、康二くんの服を濡らしていく。
それでも背中をぽんぽん、優しく叩いて宥めてくれる。
「ん、しんどかったな、もう大丈夫やで。」
私を救う天才なんじゃないかな。
欲しいと思った言葉を、全部くれる人。
「…俺んちいこ?」
手をぎゅっと握られてゆっくりと歩き出す。
私が歩くと決めた、康二くんの隣。
こんな景色が見たくてここを選んだわけではないのに。
今は少し滲んで、景色なんてちっとも楽しめそうにない。
康二くんは何も悪くない、腹を括ったはずなのに中途半端な私がいけない。
だから、濁って澱んで見えるこの景色さえ受け入れなくちゃいけない、そう思った。
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作者名:平野 頼凛 | 作成日時:2019年9月21日 13時