恋の方程式《Waku.M》 (ページ43)

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肩を並べて、2人で歩くのは今回が二度目だ。

前に一緒に帰ったときは同じ傘に入って、その距離の近さにソワソワしてどうしようもなかった。

今回は雨も降ってないから、それなりに距離を取れるからよくわからない感情に混乱することもないだろう

そう、思っていたのに…

『Aちゃんこっち』

会話をしながら通学路を歩いていると、元木くんが私の肩に手を乗せてグイッと体を動かされ、元木くんがさりげなく車道側を歩いてくれる

たったそれだけ、元木くんにとっては普通のことで…すぐに会話にも戻った

だけど、今までその行動をされたことない私は…触られた肩が熱を持つし、ほらまた…胸がきゅーっとなって苦しいんだ

「元木くん…」

『…あのさぁ、それずーっと気になってんだけど』

「へ？」

『その、“元木くん”って呼び方。いつまで元木くんなの？俺、ちゃんと名前あるんだけどー？』

「元木くんじゃ、ダメなんですか…？」

『あ、その敬語もマジで嫌だ。なんか距離あるじゃん。青木には敬語なしでしょ？』

不満そうに呟いて、名字じゃなくて名前で呼んでほしいな～なんて、おねだりが聞こえてくる

そんなの無理に決まってる…元木くんと話せてるだけでも奇跡に近いのに、そんなことしたら…いつかバチが当たりそうで怖い

「む、無理です無理です！」

『無理とかない、はい。俺の事は湧、それから敬語もなし！』

「ええ…そんなの出来ません！」

『こっちだって無理だわ、簡単なことだよ。俺を湧って呼んで敬語なくすだけ。何も難しくなくない？』

「私には難しいんです！」