恋の方程式《Waku.M》 (ページ39)

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汗で肌に張り付く制服に鬱陶しさを覚えるような、そんな季節。

そんな中で今日は珍しく、一人で帰る予定だ

最近は恵美ちゃんと帰るのに元木くんがついてきたり、恵美ちゃんと帰れない日は青木くんが一緒に帰ろうと誘ってきたり…

一人で帰る事はほとんどなくて。

だからこうやって誰も話し相手がいないのは少しばかり寂しい気もする

「…よし、帰ろっと」

カバンを持って、人の気配がなくなった廊下を歩いていると…少し離れた美術室から、物音が。

ゴトゴト、っと何かが落ちる音がして…その音に驚いて、体がビクッとして心臓がバクバクとうるさくなる

そのままスルーしようかと思ったけど…何か起きたのかもしれない、と思い、美術室のドアをソーッと開ける。

「…平塚くん？」

平塚「うわっ、だれっ！？」

見たことがある人物だったから思わず声をかけると、勢いよく振り返って私を視界に捉えた

平塚くんは元木くんとよく一緒にいるのを見るし、女子が可愛い～！と話題にしてるのを聞くから個人的に知っていて。

でも彼は私を知らないから、急に名前呼ばれたらそりゃあ驚くよね

「ご、ごめんなさい！物音がしたから気になって…」

平塚「あぁ…ごめんね。良い隠れ場所探そうと思って…そしたら画材落としちゃって」

「隠れ、場所？」