恋の方程式《Waku.M》 (ページ13)

今日:38 hit、昨日:42 hit、合計:263,171 hit

13 ページ13

「…まただ」

あれから物がなくなる頻度が徐々に増えた。

手始めに教科書やノートなど、授業で使うもの…
次は上履きや体操服まで。

漫画などでよくある…お決まりのパターンだ。私がクラスでも静かな方で、なにも言わないのを良いことに、どんどんエスカレートしていく

だけど、大体決まった場所に捨てられているから、探し出すのに苦労することはなかった

もうそんなこんなで1ヶ月ほど経つ。いつまで続くのかな…この状況が。

『おっ、Aちゃんじゃん。松崎知らない？』

「あ…」

『え、何。どした？』

「なんでも…ないです。恵美ちゃんも知りません…」

もう関わるのはやめよう。
じゃなきゃ、私の体がいくつあっても足りない

物がなくなるだけならまだ良いよ。でももっとエスカレートしてきてる

わざとらしくぶつかられて突き飛ばされたり舌打ちされたり…

もう耐えられない、私があの時元木くんに頼ったばっかりにこんなことになって…

もう嫌なの、これ以上傷つきたくない。

…それなのに、なんで。私の腕を掴んで通りすぎるのを阻止するの。

『マジでどうした？なんかあった？』

「…何もないです」

『そんなわけないじゃん、今までそんな反応したこと一度も』

「もうほっといてください！迷惑です！」

自分の中で感情が爆発した。

大声でそんなことを言って、元木くんに掴まれた腕を振り解く

その時に見えた元木くんの表情は驚いていて、どこか悲しそうだった

その顔が見てられなくて、私はその場から走って逃げ出した

わかってる。こんなの八つ当たりだ。元木くんは何も悪くない

でも…この原因は誰のもの？

違う。そうじゃない、そうじゃないけど…今は誰かのせいにしなきゃ心が苦しい

そんな自分が大嫌いだ。