片腕のないシンデレラ

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大貴side








坂田｢お前．．．本当にそれでいいんか｡後悔は．．．｣







｢ない｡もう会うこともないし、決めたことだから｣






坂田｢そうか．．．｣








俺が家を出てから１ヶ月｡高校も辞めて今は大志のお父さんの会社で働いてる。実は大志にはずっと相談してて、｢だったら家で働けば？｣なんて言ってくれるもんだから、そうすることにした。家も1人暮らししてて、｢家で働いてくれてるんだから家賃はこっちでもつ｣なんて大志のお父さんに言われたから甘えてる。









坂田｢探してるんじゃないのか？兄弟は｡せめて最後になにか言ってあげれば良かったんじゃ｣






｢大丈夫。手紙は残したから。｣








大きな川の河川敷｡目の前で行われてる少年野球の大きな声。180度変わった自分の世界｡投げ出した過去の自分。みんなのことを思えば、俺はきっと裏切り者｡








｢でね､おじちゃんにも挨拶しに来た｡俺、もうここには来ない。｣







坂田｢そうか｣





｢全て捨てることにしたんだ。なにもかも。｣





坂田｢お前の好きなようにしたらええ。お前の人生だから｡｣




｢うん｡｣





坂田｢でもな大貴．．．過去はそんな簡単に捨てれるもんじゃねぇ｡過去の自分があったから今があるってことは忘れんなよ。．．．じゃあそろそろ戻るわ。元気でな｣





｢．．．うん｣






どんだけ迷惑かけて生きてんだろ俺｡親にも兄弟にも周りの人にも｡親不孝だな｡酷いもんだ。って冷たく吹く風にそう言われた気がした。

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