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邪魔にならないよう、静かに中へ入る。

ジャンプを飛ぶ、氷を削る音。

彼女が失敗するなんて珍しい。俺はチラリとそちらを見やる。
しゃがんでいるから彼女からは死角だが、俺からはちゃんと見える位置。

...あれ?
Aさん、失敗ばっか。
何度も何度も転び、よろけ、着氷に失敗している。
1人の時しか不安定なものは練習しないのだろうか?

少し良心が痛み、さっさと退散しようかとした瞬間。

一際大きな氷を削る音。
Aさんはリンクに倒れ、仰向けになった。
大丈夫かと立ち上がる。

「くそっ...なんで飛べないの、なんで!」

静かな空間によく通る声、普段からは想像出来ない荒々しい叫び。
踵でリンクをガツン、と突き立てた。

羽「えっ...」
思わず出た声に、口を抑える。

Aさんは勢い良く上半身を起こし、辺りを見回した。

目が合う。

もう彼女は微笑んでくれなくて、鋭い視線で俺を見ていた。

「...羽生結弦」

彼女は低い声で俺の名前を呼ぶ。
反射で、はいっと大きな返事をした。

そして立ち上がり、俺のほうに滑ってくる。

「忘れ物?」

にこ、といつもの柔らかな笑みを俺に向けた。
思わず目を見開く。

羽「え...あ、え?」

「忘れ物かって聞いてんだよ」

前言撤回。

笑顔が冷たいし、目も笑ってないし、声なんて絶対零度。

羽「そうです」

「そ。取ったんならさっさと帰ってよね、気が散る」

羽「ちょ、ちょっと待って。Aさん、だよね?」

俺は彼女の手を掴む。
身長差からか、彼女の腕は少し上に持ち上がる。

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琥珀糖(プロフ) - ぬさん» リクエストありがとうございます。とても素敵なネタですね!頑張って書きます。これからもよろしくお願いします。 (2018年4月1日 22時) (レス) id: da50392b08 (このIDを非表示/違反報告)
琥珀糖(プロフ) - astroyuzさん» コメントありがとうございます。主の性格には特に気を付けましたので、そう言って貰えると嬉しいです!これからもよろしくお願いします。 (2018年4月1日 22時) (レス) id: da50392b08 (このIDを非表示/違反報告)
- 昌磨君と幼なじみのスケーターさんでエキシビで昌磨君にプロポーズされる小説お願いします (2018年3月30日 8時) (携帯から) (レス) id: b271d24507 (このIDを非表示/違反報告)
astroyuz(プロフ) - 男主のお話がとても好きです。いい男なんだろうな、と楽しく拝読いたしました。ヒロイン嬢もおかわいらしく、癒やされました。この先の更新も楽しみにお待ち致しております。 (2018年3月28日 11時) (レス) id: afb95e6422 (このIDを非表示/違反報告)
琥珀糖(プロフ) - なほなりさん» コメントありがとうございます、気付くのが遅れて申し訳ございません!そう褒めてもらえるととても嬉しいです!これからよろしくお願いします。 (2018年3月16日 17時) (レス) id: da50392b08 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:琥珀糖 | 作成日時:2018年2月25日 22時

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