アンビバレント/Shoma ページ32
宇「Aちゃん、嘘ついちゃ駄目じゃん」
「なんのことかしら?」
手元の雑誌を見ながら、僕は隣のAちゃんに声をかけた。
リンクを滑っていて、紐を直しに来たからなんとなく話しかける。
ゆづ君と同じ歳、幼馴染みのAちゃんは世界王者として名を轟かせていた。
にこ、と胡散臭い笑顔を貼り付けたAちゃんは僕の手元を覗く。
「あぁ、この前の」
前の大会でのインタビューのことだ。
『スケートを嫌いだと思ったことが無いんですよ。楽しいですし、なによりこうして応援してくださる皆様が居るので』
と素晴らしい笑顔で言い放った言葉。
彼女はスケートが大嫌いだってことを僕とゆづ君は知っている。
幼少期から初め、最初こそ楽しかったが今となっては勝ちのプレッシャーが凄いそうだ。
彼女の性格からして、それすらも嘘に聞こえてくるのが不思議で。
「...好きなわけないじゃない。私ばっか期待して、逆にゆづは良くやってられるわね」
それでも練習を続け、体調管理に気をつけて、優勝をかっさらっていく。
宇「ねぇAちゃん。スケート、本当に嫌いなの?」
僕はなんとなく聞く。
するとAちゃんはニコリと笑う。
「嫌いなわけないじゃない」
Aちゃんお得意の誤魔化し笑いを。
「スケートは好きよ、競争が嫌いなだけ」
そう言って立ち上がり、またリンクを滑る。
俺はその姿を見て、やはり思った。
...綺麗だ、と。
.
没った長編...今また長編作り始めてます。ぼちぼちと。
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琥珀糖(プロフ) - ぬさん» リクエストありがとうございます。とても素敵なネタですね!頑張って書きます。これからもよろしくお願いします。 (2018年4月1日 22時) (レス) id: da50392b08 (このIDを非表示/違反報告)
琥珀糖(プロフ) - astroyuzさん» コメントありがとうございます。主の性格には特に気を付けましたので、そう言って貰えると嬉しいです!これからもよろしくお願いします。 (2018年4月1日 22時) (レス) id: da50392b08 (このIDを非表示/違反報告)
ぬ - 昌磨君と幼なじみのスケーターさんでエキシビで昌磨君にプロポーズされる小説お願いします (2018年3月30日 8時) (携帯から) (レス) id: b271d24507 (このIDを非表示/違反報告)
astroyuz(プロフ) - 男主のお話がとても好きです。いい男なんだろうな、と楽しく拝読いたしました。ヒロイン嬢もおかわいらしく、癒やされました。この先の更新も楽しみにお待ち致しております。 (2018年3月28日 11時) (レス) id: afb95e6422 (このIDを非表示/違反報告)
琥珀糖(プロフ) - なほなりさん» コメントありがとうございます、気付くのが遅れて申し訳ございません!そう褒めてもらえるととても嬉しいです!これからよろしくお願いします。 (2018年3月16日 17時) (レス) id: da50392b08 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:琥珀糖 | 作成日時:2018年2月25日 22時