氷 の 外 で

さようなら/Shoma ページ21

｢じゃあね、昌磨。元気にしてるんだよ〜｣

宇｢...先輩｣
桜を背景に俺に微笑んだ先輩。
胸元には、卒業生が着けるバッジ。
俺はまた泣きそうになるが、なんとか堪える。

今日は先輩の卒業式だった。

いつものポニーテールじゃなくて、少しヘアアレンジを加えた髪型。
泣いたであろう、赤く腫れた目。
...そして、最後の制服姿。
｢また泣きそうだよ、昌磨｣
そういう先輩の目からは、涙が溢れている。
俺は堪えきれず、また涙を流した。

宇｢ゆづ君と一緒に、カナダでしたっけ｣
｢そう。でも、私は昌磨のこと待ってる。全国で、金メダル掲げる昌磨を見ることをね｣
そう言って、悪戯っ子のように笑う。
ゆづ君がいるなら無理なんだけど、と言いたいけれど僕は勝つ。

そして、俺は先輩に言わないといけないこともある。

宇｢先輩｣

｢なに？｣
ふわりと優しい笑顔。
さらりと長い髪が揺れる。

宇｢俺、先輩のことずっと好きでした。離れても、ずっと好きです｣

俺なりに伝えられた言葉は、A先輩に届けられる。
そして、ぼふっと真っ赤に染まる顔。
髪の毛に桜の花弁がはらりと舞う。
俺よりも少し小さい先輩の前まで行って、花弁を取ってあげる。

｢っ...いつからそんなに大人っぽくなっちゃったの｣

真っ赤な顔と、潤んだ瞳。

だけども俺のブレザーをきゅっと握る手が可愛くて、俺は思わず抱きついた。

桜の綺麗な春だった。

銀色の/Yuzuru [男主注意]→←酔っ払い/Yuzuru

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