385.天命が尽きるとき ページ6
半兵衛「う……ゴホッゴホッ!がはッ……」
A「半兵衛…半兵衛、半兵衛!」
咳は一向に治まらず、噎せ続ける半兵衛。病状が悪化したのだと悟り、Aはおろおろと戸惑い、涙ぐみながら彼をひたすら呼び続けた。
母上の言った通りだ。半兵衛の命の灯は、今も消えようとしている。こんな別れ方するなんて、やだよ――!
A「半兵衛、しっかりして!半兵衛!」
半兵衛「…A……僕から離れるんだ。せっかくの着物が汚れてしまう」
A「嫌!離さない!私の事より、自分の体を心配して…!」
半兵衛の言葉を振りほどき、Aは泣きべそをかいて彼の体にしがみついた。離れようとしないAを半兵衛の顔がじきに厳しいものに変わり、彼女を見据えた。
半兵衛「…どうしてそんな我が儘を言うんだい?君が体を壊したら、僕はなんのために生きているかわからないじゃないか…」
(お願いだ、A。もう二度と君に同じ思いをさせたくない。だから早く、僕の傍から離れるんだ…!)
怒った半兵衛はそれはもう怖い。豊臣軍の屈強な武士達でも逃げ出したくなる凄みがあると昔から重々承知している。その鋭い半兵衛を前にして、Aは怯まず首を縦に振らない。
A「…なんでそんな事を言うの?半兵衛ばっかずるいよ。私には我が儘を言う資格がないの?…一言くらい言わせてよ……最後くらい傍にいさせてよ!」
何度言われようと引き剥がされようと半兵衛をを離れまいとするAは、彼の体を抱きしめ、瞼から涙が零れ落ちた。
A「神様は…酷いよ。なんで私達だけ、いつもこんな目に遭わなくちゃならないの?私の病気は治ったのに……なんで、半兵衛だけ……」
堪え切れず、Aは流れだす涙を
半兵衛「それが僕の天命なんだ。まだAが天命を尽きる時じゃないと知って、僕は嬉しかった。……でも、君との約束が果たせなくなると思うと…」
A「……約束なんていらない」
か細い声でポツリと呟く。
A「もう約束なんてどうでもいいの……」
半兵衛「……何を言って…」
A「私が欲しいのは…半兵衛だけだよ」
抱きしめたまま顔を離し、
A「……約束より大事な事があるんだよ」
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コマさん - 最初から読みました!とても感動しました。゚(゚´Д`゚)゚。 (2017年5月7日 12時) (レス) id: 29a322c6a9 (このIDを非表示/違反報告)
クイナ - えーと、楽しく読ませてもらってんスけど...。ワンピース入ってますよね。何か全然違和感無くておもろいッスよ (2016年3月28日 11時) (レス) id: 878c05571f (このIDを非表示/違反報告)
舞 - はじめまして、舞です。私も最初っしょから読ませていただきました(^O^)とても素敵で感動しました。本や漫画にしてもおかしくないです。素晴らしい物語でした。ありがとうございました。 (2014年5月9日 22時) (レス) id: 7c57ccdb7c (このIDを非表示/違反報告)
☆ひいらぎ☆(#´^`#)/(プロフ) - 最初っから読ませて頂いたのですか、凄く感動しました!私も結構涙脆いので、途中でボロボロ泣いてましたwとてもよかったです! (2014年3月9日 4時) (レス) id: fcd858585a (このIDを非表示/違反報告)
花海月ヒリス(プロフ) - 双龍阿修羅@元朱雀さん» 見てくれてありがとうございます!今後出される作品も楽しみに待ってて下さいね(^_^) (2013年11月11日 22時) (レス) id: faf94e31c6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:花海月ヒリス | 作成日時:2013年9月12日 16時