383.やり残したこと、伝えたいこと ページ4
ビデオメッセージが終わって、暫くの沈黙――誰も言葉が出なかった。
だけど、口にしなくてもAの溢れんばかりに溢れ、止めどなく流れ出てくる。
あの映像を見て、母はなんとか笑っていようとしていた。けれど、最愛の娘との別れが名残惜しかったのか、ほんの少し瞳が潤んで揺れているのを捉えた。
母上の言うとおりだ。二人は、本当に私の事を愛していたんだ。泣きたいほど傍にいたいと……私達の愛は、本物だったんだね――
ねね「A」
そっとAに声をかける。
A「……ごめんなさい、母上。母上は、間違ってなんかなかった。なのに、私……疑ったりして、ごめんなさい……」
言葉と共に涙が溢れ出し、Aの頬を濡らした。
ねねはAに近づき、包み込むように抱きしめた。
ねね「何年ぶりかしらね。こうしてAを抱いて撫でるのは…。十六年ぶりかしら」
A「ううん…十四年ぶりだよ。生死の境をさ迷っていた時、母上は私に会いに来てくれた。私を死なせないために……あの時、そうしたのは、私に生きる機宜を与えたんだよね?」
そう言うと、ねねは地策微笑み、唐突に尋ねた。
ねね「Aは、どうしたいの?」
A「え?」
ねね「まだやり残した事があるんでしょ?大切な人達に会いたくないの?」
A「……会いたいよ。父上にも会いたい。父上を傷つけちゃったし…会って謝って、言いたい事を伝えたい。…でも、伝えたら何かが壊れてしまいそうで……」
Aは不安げに俯いた。
その風情を見、ねねはAの手を取り、その上で自分の手を重ねた。
ねね「恐れてからじゃ何も変わらないわ。現に半兵衛の命は、少しずつ
A「えっ……」
半兵衛が死ぬ……それって、もう時間がないって事?
ねね「失ってからじゃ遅いの。本当に想ってる人といたいなら、あなたは生きて、幸せになりなさい。あなたには、生きる権利も幸せになる権利もある」
A「母上……」
Aの目の端に涙が溢れ、頬を伝う。
ねね「生きなさい、A……己の道を貫いて」
そう告げた途端、桜に舞い浮かれた空間の辺り全体がたちまち白い光に包み込まれ、体の中に温かいものが入り込み、浮上するのを感じた。
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コマさん - 最初から読みました!とても感動しました。゚(゚´Д`゚)゚。 (2017年5月7日 12時) (レス) id: 29a322c6a9 (このIDを非表示/違反報告)
クイナ - えーと、楽しく読ませてもらってんスけど...。ワンピース入ってますよね。何か全然違和感無くておもろいッスよ (2016年3月28日 11時) (レス) id: 878c05571f (このIDを非表示/違反報告)
舞 - はじめまして、舞です。私も最初っしょから読ませていただきました(^O^)とても素敵で感動しました。本や漫画にしてもおかしくないです。素晴らしい物語でした。ありがとうございました。 (2014年5月9日 22時) (レス) id: 7c57ccdb7c (このIDを非表示/違反報告)
☆ひいらぎ☆(#´^`#)/(プロフ) - 最初っから読ませて頂いたのですか、凄く感動しました!私も結構涙脆いので、途中でボロボロ泣いてましたwとてもよかったです! (2014年3月9日 4時) (レス) id: fcd858585a (このIDを非表示/違反報告)
花海月ヒリス(プロフ) - 双龍阿修羅@元朱雀さん» 見てくれてありがとうございます!今後出される作品も楽しみに待ってて下さいね(^_^) (2013年11月11日 22時) (レス) id: faf94e31c6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:花海月ヒリス | 作成日時:2013年9月12日 16時