エピローグ ページ26
暖かな春風が満開の桜の巨木がはらはらと舞い落ちていく。
何年も焼失された屋敷は跡形も残っておらず、あるのは小さな墓石と、薄緑の芽がふく草が繁茂していた。
その巨木の前には、首にお守りをかけた女性が桜を見上げながら襟首に手をやり、二人の子供が空き地で遊び回っていた。
男の子「ぅわ!」
一人の男の子が
女の子「梵!男がこれくらいの事で泣いてはなりませぬっ」
男の子「だって…姉上、痛いものは痛いのです…」
強気の発言しているのが、長女・八歳のいろは。二歳下の泣き虫の梵天丸。
女性は梵天丸に近づくと、怪我をした膝を優しく
女性「痛いの痛いの飛んでけー。…はい、これで痛いのがなくなったわ」
梵天丸「ホントだ!ありがとう、母上」
どういたしまして、と言うと、母――Aは息子に向かって微笑んだ。
いろは「母上、いろはは母上の簪が欲しいです」
と、いろははAがつけている花簪を指さした。
A「これは駄目っていつも言ってるでしょ?大事な思い出の品なの。ごめんね」
いろは「それは、父上から貰ったのですか?」
A「…もしいろはが大人になってもまだ欲しかったら、その時はあげるわ」
Aは敢えて言わず、娘の頭を撫でた。
梵天丸「母上、父上はいつ来られるのですか?」
A「うーん…もう少ししたら来るでしょうね」
と、急に風が強く吹き、満開に咲いていた桜が盛んに舞い散った。
梵天丸「あ、桜が!」
いろは「これでは、花見前に散ってしまいますね」
A「…大丈夫」
Aは、散っていく花びらを手のひらに乗せて微笑んだ。
A「春が巡れば、また花は咲くから」
?「――ああ。季節の巡りが止まらない限り、花が咲かない事はないんだ」
不意に、後ろから男の声が聞こえた。
先に振り向いたいろはと梵天丸は、その男――政宗を見て喜色が浮かんだ。
い・梵「父上!」
政宗「待たせたな。いろは、梵、A」
政宗は、三人に近づきながら微笑んで片手を上げた。
A「遅いですよ!政宗さん」
笑顔でくるりと振り向き、その顔は妻の顔ではなく、青春時代で輝いた少女の顔のように見えた。
―Fin―
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
- 全体運: ★★★☆☆
ラッキーカラー
あずきいろ
おみくじ
おみくじ結果は「末凶」でした!
16人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
コマさん - 最初から読みました!とても感動しました。゚(゚´Д`゚)゚。 (2017年5月7日 12時) (レス) id: 29a322c6a9 (このIDを非表示/違反報告)
クイナ - えーと、楽しく読ませてもらってんスけど...。ワンピース入ってますよね。何か全然違和感無くておもろいッスよ (2016年3月28日 11時) (レス) id: 878c05571f (このIDを非表示/違反報告)
舞 - はじめまして、舞です。私も最初っしょから読ませていただきました(^O^)とても素敵で感動しました。本や漫画にしてもおかしくないです。素晴らしい物語でした。ありがとうございました。 (2014年5月9日 22時) (レス) id: 7c57ccdb7c (このIDを非表示/違反報告)
☆ひいらぎ☆(#´^`#)/(プロフ) - 最初っから読ませて頂いたのですか、凄く感動しました!私も結構涙脆いので、途中でボロボロ泣いてましたwとてもよかったです! (2014年3月9日 4時) (レス) id: fcd858585a (このIDを非表示/違反報告)
花海月ヒリス(プロフ) - 双龍阿修羅@元朱雀さん» 見てくれてありがとうございます!今後出される作品も楽しみに待ってて下さいね(^_^) (2013年11月11日 22時) (レス) id: faf94e31c6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:花海月ヒリス | 作成日時:2013年9月12日 16時