ウインター・マジック (ページ11)

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その日の夜の事だった。

父「A、ちょっといいか？」

ご飯の用意をしている時に神妙な面持ちで私に話しかけてきた。

『ん？どうかした？』

父「父さんな、再婚しようと思うんだ。」

『そう、なんだ。』

父「別に母さんのことを忘れたわけじゃないぞ？」

『いや、それはさすがに分かってるよ。』

父「たまたま仕事先で出会った方でな、その方も村上さんって言うんだ。Aより一つ下の息子さんがいらっしゃってな、その方も事故で旦那さんを亡くされたらしいんだ。」

『へえ。』

父「母さんが、導いてくれたんじゃないかって父さんは思うんだよ。それにな、Aの学費も払うって言ってくれてるんだ。」

『え、』

驚いて声が出なかった。.. 父がそんなことを考えているなんて思って無かったから。

父「父さんが気づいてないと思ったか？愛娘の考えてることぐらい分かるさ。」

『お父さ、』

父「たくさん、悩ませてしまってごめんな。安心して高校に進学できるからな。」

『っ、ありがとう、お父さん。』

父「まだお礼を言うのは早いぞ？笑
再婚が決まったわけじゃないんだからな。笑」

『うん、でも、ありがとう。』

父「これからもAは、俺の大事な娘だからな。」

そう言って私を見つめる父は、笑っていた。
母を見つめていたあの優しい目で。